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小野先生の一期一会地球旅
2016.11.08 小野 鎭
一期一会地球旅133「ラップランドの旅7 ハリニヴァ・リゾートへ その2」
一期一会 地球旅 133
ラップランドの旅 7 ハリニヴァ・リゾートへ その2
ハリニヴァ・リゾートに入ってメンバー各位に滞在中の予定や過ごし方について概要をお伝えした後の大きな仕事は防寒具を借りることであった。ここでは、オーロラ見物はもちろん、クロスカントリー・スキーや少し遠出してノルディック・スキー、雪原ハイキング、犬ぞりツアー、サーメの人たちの家庭訪問やトナカイ牧場の見学など様々なアトラクションがある。日中はお天気さえよければ気温は0℃くらいまでは上がる(?)であろうとのことであったが、陽が落ちると急激に気温は下がり、深夜には-15~25℃は普通らしい。並みの防寒具ではおよそ用を為さない。リゾート内には専用の防寒具や様々なアトラクション用具のレンタルやガイドサービスの事務所がある。日本出発前にメンバー全員の身長と足のサイズを一覧にして伝えてあった。
レンタル事務所に行ってみると、フード付きで恐ろしく大きな上下つなぎの防寒具、ブーツも長さ40㎝はあろうかと思うほど大きなものから子供用の可愛いものまで、そしてもこもこの手袋、マスクなどが一組になっている。メンバー全員が借り終わるまで30分以上かかったような気がする。自分も予想していたものより、一回り大きなセットを借りて着用する。一通り着終わるまで数分はかかる。慣れると要領よく着用できるのだろうが、慣れるまでは一苦労であった。何とも歩きにくく、どうしても蟹股スタイルになるのはご愛敬。頭からフードをかぶってしまうと昼間でも男女の区別どころか人の判別さえつきにくいほど。全員がこれを着用するといよいよオーロラ見物への期待が高まる。 夕方までにリゾート内を回ってみた。園内はかなり広く、ホテルの周りだけでも10分はかかる。さらにレンタル小屋、犬ぞりのサーキット、スノーモビルの車庫などがあり、裏の方へ回ってみるとムオニオ川の雪原に続く斜面が広がっていた。その前にちょっとした建物があり、大型のサウナ室であった。
滞在中、グループでこのサウナを家族風呂よろしく借切ることにしている。サウナの出入り口から飛び石状のブロックが置かれており、その上に滑り止めの敷物が張ってあった。数メートル離れたところに自衛隊の屋外風呂のような設備があり、蓋がしてあった。それを開けてみるとジャクジー風呂、手袋を脱ぎ、手を入れてみると心地よい暖かさであった。とは言え、サウナからこのジャクジーまで凍り付いた飛び石伝いに素っ裸で歩くことを考えると、相当な勇気が要るに違いない!ヒェーっと悲鳴さえ聞こえそうである。サウナ室から堤防らしい小高い連なりを数十メートル歩くと、バスの待合室のような小屋があり、ベンチがあった。ホテルの敷地の外側は住宅地へと続く。民家らしい建物がぽつぽつあり、そのそばに別棟で小さな建物 がある。どうやらこれはそれぞれの家庭のサウナ室らしい。
夏ならば、きっとサウナから火照った身体でそのまま川に飛び込んでひと泳ぎするのであろうか。半時間あまり外を歩いているとすでに陽も落ちて寒さが次第に強まっていた。ホテルの玄関先にある気温表示は-5℃くらいであったような気がする。ホテルのドアを開け、ロビーに入ると一気に暖かさを覚える。内外の気温差は多分20~25℃以上はあるだろう。面倒でも防寒具などの着脱をこまめに行なうことが肝要である。部屋に戻って、熱いシャワーを浴びてやっと人心地を覚えた。それからレストランへ行く。リゾートにはかなりの宿泊客があるらしく、ずいぶんにぎわっていた。トナカイの肉やサーモンなどをメインにしたラップランドスタイルの夕食はなかなか興味深かった。 夜、10時過ぎ、完全武装(?)してロビーに集合。ホテルの玄関から外へ出てみるとすでに-20℃ほどであった。夜目にも白い雪道をメンバーは車いすを押したり、お互いに手を引きあって転倒しないように注意しながら慎重に歩を進めていった。木立をぬって、夕方下見しておいたムオニオ川の堤防と思しきところにある小屋のベンチらしいところへ行ってみる。広い雪原の向こう側には所どころ小さな光があった。向こう側はスウェーデン、この川はフィンランドとの国境でもある。川の向こう側は森が広がっているらしくさらに黒々としていたが、空には星がまたたいていた。今か今かとオーロラの出現を待つ。暗い中では、すぐ近くにいる人や隣に立っているメンバーも防寒着とフード、マスク、手袋というスタイルであり、言葉を交わさない限り、ほとんどだれがだれか人の区別もつかない。 待つうちに眉毛がバリバリしてくる。鼻から口にかけて息のあたる部分がこわばって来る。手を当ててみると氷柱(つらら)が下がっていた。 じっと天を仰いでいると、空の向こうがうっすらと白くなった。次の瞬間、龍が昇っていくような動きに変わっていった。そして、その向こうにある星が小さくまたたき隠れていく。オーロラだ!と歓声が上がった!
写真で見るような豪華な色どりは見られなかったがこの夜、念願のオーロラを見ることができた。それからも不規則に龍が昇り、空がうっすらと白くなったり、刷毛で横にサッとはいたように広がったり、夜のとばりが幾度も動いた。こうして、小一時間ほど極寒の雪の原っぱに立っていただろうか、防寒着を着用しているとはいっても足元から深々と寒さが上がってくる。鼻の下にはつららが付いているし、眉毛はバリバリしている。夜空のページェントにみんな幾度も歓声を上げた。カメラはなかなか用を為してくれなかったが、心の窓にはあの極光が残っている。まだ、辛抱強く残っている人もいたが、先ずは夜空の大型動画に感動してホテルへ戻った。玄関のデジタル表示は、-15℃とあった。フロントで聞いてみると、今夜はあまり寒くないので豪華なNorthern Lights(オーロラ)は見られなかったのではないか、とのことであった。 (資料、 撮影はいずれも2013年3月) ハリニヴァ・リゾートへの道 ハリニヴァ・ホテル前の広場(資料借用) 犬ぞりサーキット入口(資料借用) ムオニオ川を埋め尽くした雪原 ホテル玄関前の気温のデジタル表示、この夜(2016年3月10日)は氷点下15℃。 (結果的には、3泊したうち一番暖かい夜であった。) (2016/11/8) 小 野 鎭
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