戦争中、満州で育ち、
4歳の頃、逃げるように日本に帰ってきた際、その道中で弟と妹を亡くしました。
その弟妹のお墓参りに行きたいという想いを長年あたためていらっしゃいました。
そんな想いの実現の旅をトラベルヘルパーがご一緒しました。
目的地は、中国の長春。
上海経由の長い道のりです。
乗継地、上海空港では、飲茶で腹ごしらえです。
待ち時間の合間に、「私のこの旅行に対する想いを読んで欲しいんよ」と、
ご自身で書いた手記渡して下さいました。
4歳の時に日本に逃げる最中に弟と妹を長春の路上で亡くしたこと、
お母様が両下肢を切断しても生き抜いたこと、
自身の病気がわかったこと、
長春は気になってはいたものの行けるわけがないと思い込んでいたこと、
テレビ番組をきっかけに実現したい行きたいという想いが強まったことなど…。
この手記を旅行前に、仲間の皆さんの前で音読したそうです。
激動の半生、この旅行にかける想い、、が、
力強い文章で伝わってきて、思わず目頭が熱くなりました。
この旅行の成功が心にとって大きなものかが感じられました。
長春の街へ。
きらびやかな景色もあり、
懐かしいような景色もあり、
中国の今と昔を垣間見られる街でした。
弟・妹様が亡くなったという道へ。
確実な場所はわかりませんので、近くの空き地でお参りをしました。
ご両親の写真を置き、手を合わせながら、次々と涙がこぼれるK様。
ティッシュで拭いながら、お参りの後は、満足されたような表情でした。
「お陰様でここまでこれました。ありがとう」と繰り返しおっしゃられました。
2か所目のお参り場所へ。
こちらも場所の特定はありませんでしたが、
篠塚トラベルヘルパーの一言からなんとなく導かれるように入った公園。
ここで思わぬ出会いが待っていました。
現地の方にお話を聞きながら、導かれるようにその場所へ誘われていきました。
そして、とうとうその場所へ。
そこで、戦争を経験されたという男性に出会いました。
ここには以前は墓の石碑があったそうですが、
今はなく、日本人の方はよくここでお参りしているとのこと。
そして、この場所に穴を掘りたくさんの方が埋められたと。
K様手記にあったご家族のエピソードにも似ており、
この場所に導かれた尊さを感じました。
再び涙され、「ありがとう」と繰り返されました。
お食事はガイドさんオススメのレストランへ。
経験のない食事にも、果敢にチャレンジ。
初めての体験に笑顔をたくさん見せて下さいました。
日本に逃げる際に利用した長春駅。
今は姿をすっかり変えていますが、思い出深い場所を見て、
当時の記憶が音が脳裏によみがえります。
目的のお墓参りを終え、長春にお別れの時。
長春空港に近付くタクシーの中から涙が止まらないご様子。
「勝手に流れてきよる」と泣き笑です。
帰りがけに経由地である上海の街へ。
お土産を買いに。
中国では英語が話せないスタッフが多く、コミュニケーションは一苦労。
「ポケトーク」が大活躍でした。
旅行の終盤、「実は、シベリア鉄道に興味があるの」と。
今回の旅行で自信がついたためか、その後何度もお話しされていました。
お客様の気持ちが変わり、
自らそういったお話が聞けた時、
トラベルヘルパーもご一緒できてよかったと思う瞬間です。
日本の空港に無事到着し、到着ロビーでお別れの挨拶。
「本当にありがとうございました。来て頂いたお陰で念願の旅行に行けました」
と涙ぐまれるK様。
握手をしながら「次はシベリア鉄道ですね」と約束し、お別れしました。
戦争について改めてお話しをお伺いすると、
そこには言葉では表しきれないエピソード、想いが詰まっています。
普段はタブーと思いなかなか切り出すことはできませんが、
戦争経験者それぞれ、お一人お一人、必ず抱えているものがあるのだろうと感じました。
旅行として長時間ご一緒できることで、大切なお話が聞けて本当に良かったです。
長年の想いが成就したこの旅行にご一緒できて、感謝の気持ちでいっぱいです。
トラベルヘルパーサービス提供:SPIあ・える倶楽部
エスコート&レポート:篠塚トラベルヘルパー&大村トラベルヘルパー