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小野先生の一期一会地球旅
2016.12.22 小野 鎭
一期一会地球旅139「地球の歴史を見に行こう その4 ココニノ台地からグランドキャニオンへ」
一期一会 地球旅 139
地球の歴史を見に行こう その4 ココニノ台地からグランドキャニオンへ
オーククリークキャニオンはその名の通り樫(カシ)の木が茂っており、坂道を登っていくごとに谷の斜面一帯には少しずつ松やジュニパー(アメリカポプラ)など高さもかなり高い樹木が増えっていった。フェニックスを出て1時間余りはもっぱらアリゾナ州中南部の低地であり、岩石砂漠や荒れ地が広がり丈の高いサグアロ・サボテンなどが茂っていた。
川といってもほとんど水は流れておらず、ワジ(Wadi=涸れ川)状態で冬季になって雨が降ると川らしい(?)風景に変わっていた。以前に10月ごろこの地を走って川に水がちょろちょろ流れているのを見て納得したことを思い出す。オーククリークキャニオン一帯は次第に海抜高度はすでに海抜1800m位になっており、谷底を流れる川にはさわやかな水の流れがあり、絶好の行楽地になっていてピクニックをしている人たちもちらほら見えた。やがて、谷を上り、見晴らしのいい休憩所にはたくさんのクルマも停まっており、このあたりの先住の人たちであろうかT-シャツやスナックを売っているスタンドもあり、ちょっとした賑わいであった。
展望台に立つとはるかにセドナの赤い岩山と緑の木々の美しいコントラスト、そして、広大な森が広がっていた。海抜高度が高くなっているので降水量も多く、森林地帯に変わっていた。北アリゾナの中心地、フラッグスタッフの町がある。車窓には、チラッとであるが大きな山が見えていた。 サンフランシスコ山群のハンフリーピーク峰であった。アリゾナ州の最高峰とあり海抜3850m余、富士山より少し高いがこのあたりの海抜がすでに2000m近くあるので、それほど高い山とは思えない。山のふもと一帯には森林地帯が広がり、ここでI-40州際高速道路40号線に乗って約30分余り西へ走った。I-40は、米国東南部北カロライナ州ウィルミントンからカリフォルニア州のバーストウまで米国南部を横断しており4000km余り、米国では3番目に長いInterstateであるという。大陸横断の自動車専用道路らしく、大型トラックが幾台も行き交っていた。 やがて、ウィリアムスの町を迂回して高速道路を下りて州道64号を北へ方向を転じた。ほんの10分くらいは人家や倉庫めいた建物が見えていたが、いつしかそれもなくなり、広い台地が広がり、目の届く限りそれは続いていた。時々左側車窓に並行して遠くに鉄路が見えていた。ウィリアムスからグランドキャニオンまでを結んでいるグランドキャニオン鉄道である。昔は、これが主たる交通機関であり、観光客もこれで入ったそうであるが、今は専ら自動車が主であろう。勿論、フェニックスやラスベガスからの空路もあり、日本からの観光客は手っ取り早く飛んでいく人が多い。今回参加しているメンバーの一人、Yさんは根っからの撮り鉄、線路を見ると落ち着かない。はやく電車が来ないかと窓の外に目をやっている。しかし、実のところ、近年では、一日に多分、上り下り各1本ずつであろうか、約90㎞余りを2時間半くらいかけて走る遊覧鉄道であり、電車とは言わずディーゼル機関車が旧式な客車を曳いて往復している。乗客は急ぐ旅ではなく、車窓に広がる雄大な風景と食事、そしてウェイターやウェイトレスなど乗務員たちは食事が終わるとギターやバンジョー抱えて歌ったり、ジョークを言ってはみんなを笑わせる楽しい鉄道の旅だと聞いている。一度は乗ってみたい、と思いつつ、いまだに実現していない。
ほとんど牧場と半砂漠のように広大な大地は、ココニノ台地(Coconino Plateau)と呼ばれており、面積は15000㎢もあるそうで岩手県とほぼ同じ広さであろうか。海抜1800~2100mで遥か昔は海底であったが長い間の地殻変動で今の大地になっているとのこと、この台地の北のはてにアメリカ有数のコロラド川が数百万年かけて削ってできたグランド・キャニオンがある。谷の向こうはさらにカイバブやカナブ台地とつづき、州境を越えてユタ州である。どこまでも広い大西部が広がっている。ココニノ台地をまっすぐ北上すること1時間余り、途中はほとんどハンドルもいらないような(?)一直線の単調な道路が続く。しばらく行くと少しずつ灌木林が広がり始め、やがて背の高いポンテローザ松やダグラスモミ、ジュニパーなどの森が広がるカイバブ国有林へと入っていく。間もなく左手にグランドキャニオン空港の看板が見え、ほどなく両側にはホテルやスーパーマーケット、レストラン、ガソリンスタンドなどが立ち並び、トゥサヤン(Tusayan)の町である。アメリカの多くの国立公園や歴史公園などがそうであるようにグランドキャニオン国立公園も公有地になっており、公園内には公園管理局の管理下にあるホテルやロッジ、キャンプグランド、カフェテリアやスーパーマーケットなどがヴィレッジ内に点在しており、それ以外の施設を勝手に造ることは認められていない。
従って、民間の多くのホテルやレストランは国立公園の入り口から数キロメートル手前のこのツゥサヤンにあり、ラスベガスなどからのオプショナルツアーの多くはここにあるホテルで宿泊したり、食事をとり、グランドキャニオンのサウスリム(南の縁=へり)の遊覧をするスタイルが一般的。少し走ると道路の真ん中に緑の屋根と茶色の柱と壁から成る公園入口事務所がある。乗用車、バス、バイクなどすべての入園者がここで入園料を払うことになっている。乗用車は30ドル(1週間)、バイク25ドル、26人以下の貸切バスは一人当たり8ドル、30人以上は300ドルとある。一週間というのがいかにもアメリカ的である。いったん公園内に入るとすべて分かり易く表示された道路に沿って走ることになるが一般車は公園内各地に設けられた駐車場に入り、公園内はほとんどのところがShuttle Busを利用することになっている。これについては後述する。 フェニックスから400㎞余り走ってきて、公園内に入り、そのままVillageへ行き、まずは今日から3泊するヤヴァパイロッジにチェックインを済ませて園内での過ごし方の最新情報を仕入れた。
あとはそのまままたバスに乗ってロッジの駐車場へ移動、7~8棟点在している建物の3棟にグループの部屋がわかれていることを確認した。フロントからロッジまで徒歩5~6分ありそうなことがいささか気がかりではあったが、大自然の静けさの中で思い切りここでの滞在をお楽しみいただくことに思いをめぐらした。そして、陽が落ちる前にまずはグランドキャニオンに間違いなく到達したことを皆さんに確認していただくことがこの日の最大のイベントであった。再びバスに戻り、数分走って「メイサーポイント」の駐車場へ。
サウスリムの遊覧道路はヘリ沿いに40㎞位あるがその間に10数ヵ所の主な観光スポットがある。ほとんどが峡谷を見下ろしたり、はるかに眺めたり、日の出や夕日を楽しんだり、さまざまな趣向がある。メイサーポイントからは峡谷の幅が一番広く対岸のノースリム(北側の縁)までは直線で20数km、ブライト・エンジェルの谷の奥までは30㎞以上あるとのこと。右に目を転じるとヴィシュヌ・テンプルと呼ばれる見事なスタイルの赤い岩山が聳えている。メンバーは、駐車場から徒歩数分、これまで走ってきた広大な大地が目の前で大きく落ち込む峡谷を前にして、しばし無言、そしてしばらくすると、ウワーッと歓声が上がった。話には聞いていたけれど、これがグランドキャニオンなんだ!と驚きの声が異口同音に発せられた。
谷底まで1500m以上、そしてはるかに小さくコロラド川が流れているのを発見してこれがこの巨大な谷を削ってきた川なんだ、とため息のような感動の声が聞こえた。メンバーは、間違いなくこれが世界最大の峡谷であり、あの谷底まで続いている赤茶、黒、白、灰色、など様々な色をした岸壁は下に行くにつれて数百万年、否、数千万年、そして数億年も古い地層だということを聞いて信じられないように摩訶不思議な顔があった。いつしか太陽が西に傾き、早くも谷底の方は少しずつ暗くなり始めていた。大峡谷は今日も静寂の中にどこまでも広がっていた。 本番は明日にしましょう、と声をかけ、本格的にロッジへ戻り。夕べの準備にかかった。 (資料 上から順に、撮影はいずれも2015年9月、ことわり無しは小野撮影) 中部アリゾナの荒れ地、窪地の向こう側に反対車線(B-POP様から借用) オーククリークキャニオンの流れ(同上) ハンフリー峰(同上) ココニノ台地の真ん中を突っ走る州道64号線 グランドキャニオン国立公園64号線入口(外部借用) メイサーポイント付近 ヴィシュヌ・テンプル(外部借用) 大峡谷の雄大さにしばし呆然!(B-POP様から借用) (2016/12/19) 小 野 鎭
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小野 鎭
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