2017.01.04 小野 鎭
一期一会 地球旅140 「地球の歴史を見に行こう グランドキャニオンに遊ぶ(1)」

一期一会 地球旅 140 地球の歴史を見に行こう グランドキャニオンに遊ぶ(1)

サウスリムの対岸には、はるかにノースリム(北側の縁)がうっすらと見える。さりとて手を振れば向こう側にいる人が見えるかもしれない、などと考えるのは日本的規模の峡谷のこと。鳥ならば数分で向こうまで飛んでいけるかもしれないが人間の場合はそうはいかない。谷の側面に造られた狭い道を幾度もつづら折りを繰り返しながら谷底まで下りて一泊し、さらに北側斜面のつづら折りの道を上り、翌日ノースリム(北側の縁)にやっと達することになる。自動車であれば、グランドキャニオン国立公園を出てそのはるか東側を回って、どこまでも続くヴァーミリオンクリフ(朱色の崖)などの荒野を走って340km余、やっと反対側の展望台に着くことができるという。何ともスケールの大きな景色がメイサーポイントからの眺めである。 そんな話をしながら今回の宿舎ヤヴァパイロッジへ向かった。サウスリムには数軒のホテルがあるが、伝統と格式を誇るEl・Tove Hotelに続いてYavapai Lodgeなど数軒のホテル、さらにはトレラーハウス、さらにはテント村といった過ごし方もある。また谷底深いファントム・レンチがあり、その名もずばり牧場風の宿舎もある。筆者は、グランドキャニオンは20回以上訪れているが、毎回、ファントム牧場に一度は行ってみたい、そしてコロラド川の激流下り、ラフティング・ボートで両岸に迫る巨大な岩の壁、はるか20億年以上も古い地層もあるとのことでそれをわが目で確かめたい、と願いながら、いまだに念願を果たせないでいる。 サウスリムの見どころは東西約50㎞位にわたって点在しているが中央部にビジターセンター地区、マーケットプラザ、
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ヴィレッジと名付けられた3か所のエリアがある。それぞれ観光案内所、大型スーパーや郵便局、銀行など、そしてホテルやロッジ、大型の土産物店やレストランなどがあり、どこも観光客やハイカーなどでにぎわっている。これらの観光スポットやエリアはそれぞれシャトルバスで結ばれており、3系統がある。いずれも無料で早朝から夜遅くまで運行しており、15~20分おきくらいにやって来る。オレンジルートとブルールートは一周50分、レッドは一番西端のハーミット・レストまで行っており一周80分、見どころは一番多い。
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グランドキャニオンは、前回述べたように最寄りのウィリアムスからでも2時間近く、ラスベガスからは空路40分、主な交通手段は、自家用車、貸切バス、鉄道、そして空路となるが、3つのエリアいずれかに設けられた大きな駐車場または各宿泊施設の駐車場を使い、リム内の遊覧道路を一般車が走ることはできない。つまり、リム内ではシャトルバスを利用することになっており、どれもWheelchair Accessibleとなっている。そうすることによって、公園内での交通事故を無くすこと、あるいは排気ガス等による環境悪化の防止などの配慮がなされている。 15年振りに訪れたサウスリムであったが、昔は自分たちの乗ってきた貸切バスでほとんどのところを回りながら遊覧するというのが一般的であった。それだけにかなり自由に動くことができたが、一方では多くのクルマが行き交い、交通事故や動植物への悪影響、環境の汚染などがあったと思われる。それらが大きく見直された結果であろう。昔のことを知っている自分としては、不自由だと感じたが、今回訪れてみるとやはりずっと爽やかに滞在中を過ごすことができたように思える。
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いまでは、グランドキャニオン国立公園サービスでTrip Planner : Find your Parkという案内書を発行しており、とても重宝する。旅行出発前の説明会でもこれを皆さんに配り、大峡谷への期待をより高めていただくことができたと思う。全体で20ページからなるとても分かり易い。英語の他、仏伊西語、中韓とあり、日本語も勿論である。観光面だけでなく、地質学、地理学などの他に学童向け案内も豊富で訪れる人にとってとても便利である。訪問者への配慮は見事というべきであろう。 https://www.nps.gov/grca/learn/news/upload/grca_japanese.pdf 今回もヤヴァパイロッジであったが、これはマーケットプラザに隣接した広大な地域に建物が散在している。フロントデスクは、マーケットプラザの一角にあり、先ずメンバーにはバスの中で待機してもらい、添乗員がチェックインを行い、全員のカギと登録用紙を預かり、必要事項について説明を受けてバスに引返す。
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そして、車内で必要事項を説明し、各部屋のキーカードを配布する。登録用紙は最低限必要なことを記入し、署名をしてもらったところでこれはまとめて添乗員がフロントに届ける旨、約束をする。そして、晴れてロッジの駐車場に移動する。ロッジは西と東のブロックに分かれており、全体で15棟、それぞれの建物には15~20室がある。今回は東のブロックでいずれも2階建て、建物の両側にゆったりした階段があるが、エレベーターは無いので、車いすの使用者や歩行に不自由のある方などには一階の部屋を準備する。
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ロッジとはいっても内部はホテル仕様であり、各部屋はゆったりした広さでツインベッドとバストイレ付、部屋の広さはかなりのもの。3日目の夜は一部屋にメンバー全員が集っての会食であったがベッドに腰かけたり、床に座ったりして楽しいひととき。それでもあまり窮屈さは覚えなかった。建物の周りには背の高いポンテローザマツなどが聳え、静かな佇まいであり、じっと目を凝らすと鹿たちが歩いている姿が目に付いた。
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このロッジは宿泊する上では快適そのものであったが、広大な敷地の中に点在しており、フロントと実際に宿泊した建物までは多分、300m位はあり、しかも緩やかな傾斜がある。松林の中を毎回5~6分歩かなければならないが海抜2000mあり、多分、酸素が少し薄いせいもあるかもしれない、滞在中朝幾度となくフロントとロッジ間を往復するのは楽ではなかった。
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加えて、インターネットが自室では使えなかったので、朝早く、あるいは深夜ノートパソコンを抱えてフロント付近まで行っては、各種情報を得たり、メールを打ったり、この面での不都合さはあった。 フェニックスからの長距離ドライブ、そして、到着後のメイサーポイントから眺めた大峡谷の雄大さに感動し、夕方までのひと時、メンバーはシャワーを浴びたり、一休み。そしてこの日、グランドキャニオン第一夜の夕食はシャトルバスを使い慣れるためにも、とビレッジまで出かけ、ブライトエンジェルロッジ内にあるレストランで思い思いにメニューを選んでいただいた。ここでもハンバーガーに挑戦したり、スパゲティーあるいはこれぞメキシカン風味のプレートを注文した人もあった。ここでも量の多さに驚き、味はともかく量ではどこにも負けないという大西部の素朴な夕食であった。にぎやかな夕食が終わり、外へ出てみると高原の夜はかなりの冷え込み、思わず身が引き締る。バスストップで見上げると空には満天の星が輝いていた。    (以下、次号とさせていただきます) (資料 上から順に、写真は2015年9月撮影) シャトルバス案内図 同上、車いす用スロープ The Planner : Find you Park (日本語案内) ヤヴァパイロッジ(建物の外観) (資料借用) 同上 ツインルーム室内(資料借用) シャトルバス停留所、 屋根もベンチもあり、優しい配慮が感じられる。 同上バス停のポール(Market Plaza) (2017/1/3) 小 野  鎭