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トラベルヘルパーマガジン
小野先生の一期一会地球旅
2017.07.13 小野 鎭
一期一会 地球旅166 地球の歴史を見に行こう リンデンハウス 秋の東北へ(8)
一期一会 地球旅 166
リンデンハウス 秋の東北へ(8) 瑞巌寺
一夜明けてメンバーは前日の疲れも取れて元気回復、明るい笑顔で朝食に集合。男性陣は早起きしてひと風呂浴びてきたとのことでみんなさっぱりした顔、さわやかさあふれており、この調子でいけばきっと今日の長丁場、皆さんをリードしてくれるに違いない! 昨夜のミーティングでは夕食を食べ過ぎたとおなかを抱えていた人もあったが、一晩寝るとまた別腹、ブッフェカウンターを真剣にのぞき込んでは、テーブルに載せきれないほど料理を選ぶ人もあった。朝食は、昨夜の団体と違って、一般宿泊客も一緒、ブッフェには所どころ列ができていた。今朝も食事は好評、和洋中華などとりどりの味を楽しんでいただけたようであった。 朝食を済ませて、一端部屋へ戻って身づくろい、8時半出発へ向けて旅行荷物をもってロビーに集まっていただくことになっている。一足先に玄関前へ出てみると、かねて予約してあった南三陸観光バスと書かれた大型バスが停まっていた。中型バスと聞いているので、他にもこの会社のバスを使うグループが居るらしいと思いつつ、念のため、バスの脇に立っていたドライバー氏に尋ねたところ、私たちのグループ用であることが分かった。会社側の都合で大形の出番となったらしく、40数名乗り、皆さんゆったり乗ってください、とのことであった。ラッキー! 今日は夕方までバス旅行であるのでこのゆったり感は有難い。ドライバーの名前は、佐藤氏、加えて、ガイドは猪狩女史、ほどほどの年齢であろうか、きっといい案内をしてくれるに違いない。ところで、宮城県一帯には佐藤姓が多い。最初に電話した時のバス会社の営業担当が佐藤氏、そして、それから後のやり取りは別の佐藤さん(女性)、幾度か電話したが佐藤さんをお願いしますと、いうとどの佐藤でしょうか?と聞かれることが多々あった。部署名あるいは担当業務、もしくは姓だけでなく、名も聞いておくことが必要かもしれない? 一方、ガイドの猪狩女史は、自ら、宮城ではなく隣の福島出身ですが、宮城県での生活も長く、いわば地元といってもいいほどらしい。ですから今日のコースで被災地を巡ることや慰霊することについてもたくさんご案内した経験があるのでご安心ください、と頼もしい挨拶であった。国内旅行の添乗業務は、自分は必ずしも得意ではなく、お客様の方が旅行先などは詳しい場合もあるので、耳学問や様々な資料から勉強して、当日に備えているが、今回はバスガイドをお願いしてあり、その点ではありがたいことであった。今回の旅の目的を伝え、メンバーには、あまり難しい言葉は使わずに、分かりやすくゆっくり説明してほしいと念を押した。呑み込みも早く、要領よく受け答えしてくれており、きっと、ガイド代以上の働きをしてくれるに違いない。
間もなく出発時間となり、全員がバスのそばに集まった。ガイドとドライバーを紹介し、これからの予定を説明した。今朝のメインは瑞巌寺、バスに乗るまでもなくホテルからは徒歩6~7分、昨日乗った遊覧船乗り場のある公園公園前の通りから市街地の中へ入り、短い参道の手前には、「国宝 瑞巌寺」と彫られた貫禄のある石の柱が立っていた。
しかし、正しくは「松島青龍山瑞巌円福禅寺」というのだそうだ。松島は美しい海と松の緑、島々の構図が見事に整っていることから日本三景(林春斎の日本国事跡考)の一つに数えられているのだろうが、そこにこの瑞巌寺の存在が大きいかもしれないというのは個人の勝手な解釈かも知れない。松島湾一帯の風景、つまり自然の美を一方に讃え、他方では、瑞巌寺の堂々たる構えと床しさそしてその寺としての存在の大きさがこの地に多く人を呼び寄せる要因の一つであろうと思う。 地図を見ると瑞巌寺と書かれた長方形に囲まれているが、参道を進んで山門をくぐると中は予想していた以上に広く、大きな杉の木がうっそうとして並んでいた。
参道の右側には岩山が迫り、そこには洞窟が連なっており、いずれも仏様が祀られている。はるか遠くのお寺の名前も書き込まれており、この寺の存在の大きさがわかるような気がする。この寺の由来は遠く平安時代にさかのぼり、天台宗であったそうだが、鎌倉時代になると禅宗円福寺となり、やがて戦国時代に至ると妙心寺派に属したとのこと。関ヶ原のあと、伊達政宗の熱い庇護を受けるようになってこの寺、瑞巌円福禅寺は、110余の末寺を要する仙台藩内随一の規模を持つようになった。しかしながら、明治の世になって廃仏毀釈、さらには伊達藩の版籍奉還により、寺領の撤廃が瑞巌寺始め松島一帯の寺院を直撃した。しかしながら時の有力者の努力で維持されていたところ、明治9年、天皇の行在所となり、復興の契機につながっていったとある。幾多の変遷と危機を乗り切ってきたこの寺は、現存する本堂、御成玄関、庫裏、回廊は国宝、御成門、中門、太鼓塀は国の重要文化財に指定されている。メンバーは、境内、本堂、庫裏、宝物殿など、ガイドの説明に耳を傾けながら真剣に聞いては興味深そうに見入っている姿が印象的であった。 松島のさーよー、瑞巌寺ほどの寺もないとえーと唄われて、昔から地元はもとより旅人や信者に親しまれてきているこの寺、
名刹とは聞いていたが想像以上であった。海面からさほど高くはないこともあって、先の大震災では、境内まで津波に襲われ杉木立には今なお塩害があって立ち枯れが進むのであろうか、伐採される木もあるらしい。建物の中には震災の被害を受けて物もあり、青いシートが掛けられたり、塀で囲われて修復中のところなどもあった。入場した時間が比較的早かったことも幸いしてか、ほとんど観光客や参拝客とすれ違うこともなかったが、拝観を終えて外へ出る頃には団体客が入って来て次第ににぎやかになってきていた。
遊覧瀬乗り場のある公園で記念写真を撮り、五大堂へ向かった。瑞巌寺に所属する仏堂で、伊達政宗が瑞巌寺再興に先立って再建したとあり、東北地方最古の桃山建築といわれているとか。この日も深まる秋の柔らかな明るい日差しを受けて一帯はすでに観光客が溢れており、中国人始め多くの外国人の姿もまじっていた。五大堂は松島湾を眺める絶景の地に有り、思い思いに写真を撮っており、場所を探すのに苦労するほど。堂宇に至る橋は、順番待ちするほどであった。 少し歩くと汗ばむほどの陽気で心地よい朝の散歩を兼ねた瑞巌寺詣でを終え、いよいよ石巻に向かうべく、バスに乗車。午前10時頃であっただろうか。 (以下次号とさせていただきます) (資料、上から順に 撮影は2016年10月16日) 秋の陽射し映える松島湾。 瑞巌寺参道、右側のシートは震災で傷んだ老舗が修復中。 日本三景の碑。 瑞巌寺本堂にて。 境内いたるところで修復工事進行中。 五大堂をバックに。 (2017/7/12 小 野 鎭
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