2022.06.28 小野 鎭
一期一会 地球旅 223 パールロードから南イタリアを巡る旅(9)

一期一会 地球旅 【223】 パールロードから南イタリアを巡る旅(9)

 
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この年(2012年)8月になって、我々の旅行には、新たな難問が起きてきた。ナポリで起きたごみ問題である。市の清掃関係業務が行政上のトラブルから最近になって市内のゴミの回収が行われず、町のあちこちでゴミの山ができており、手の付けられない状態になっており、大きなゴキブリが発生しているとか、道路はごみの山で不衛生極まりなく、市民は鼻をつまんで歩いているとか、観光客は激減しているなど、はなはだ芳しくないニュースが伝わってきた。New York Timesの日本版には体調8cmのゴキブリがマンホールの上を歩いている写真と記事が掲載されていたり、日本の新聞にもゴミの山が紹介され、マフィアが絡んでいる? などの添え書きまであった。 「財政破綻で巨大ゴキブリがナポリを占拠」消毒が行き届かなくなった下水道でゴキブリが大繁殖、財政緊縮のおぞましすぎる副作用 Newsweekの日本版、2012年8月23日号の記事であるが、この時は巨大なゴキブリの写真も掲載されていたらしい。今は、Newsweekの記事は残っているが当時のゴキブリの写真は消されており、これは別の資料からの借り物。その後、このゴキブリの写真は同紙からは削除されているので、写真そのものは何か掲載できない事情があったのかもしれない。当時、ここに掲載するような写真がSNSで飛び交っていたらしい。今も当時の記録を拾い出すことはできるが正しくないことが多いらしいのでここではこれ以上の追及は避けることとする。 そこで現地手配会社やイタリア政府観光局などを通して真相を究明すべく努めた。その結果、ナポリで一時的にごみ処理が滞り、一時期路上にゴミの山ができていたことは事実であるが、過剰報道であったことが分かった。すでに9月に入ってからは市内での清掃業務は正常に行われており、ゴミの山もほとんどなくなり、悪臭なども解消している。安心してお出で下さいとの公的な情報が寄せられた。日本国外務省の海外安全情報でもそのようなことは報じられていなかった。現地情報については、徒に踊らされることなく、慎重に対処することの大切さを改めて感じたことであった。中には、そのような風景を見るのも旅の面白さの一つと、さすがに世界各地を歩いてきた我がメンバーの中にはサラッと流すとか、歓迎する声さえあったのもこのグループの特徴の一つでもあった。こうして、予定通りナポリに3泊することで出発したのであった。
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イタリアには以前にも案内したメンバーもあったがいずれも70歳を超えており、これから先、個人的に行く人はあるかもしれないが、このメンバーで来ること最後であろうと思い、ナポリでのホテルは少々ぜいたくをして市内でもトップクラスを手配した。市内での名所卵城に近い位置でナポリ湾に面しており、湾の向こうにはヴェスビオスが秀麗な姿を見せており、ホテルのフロントと言い、レストランと言い、部屋係のスタッフなどさすがにサービスはなかなかのものであった。
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この日の夕食は、自由となっていたが、結局、全員でホテルの近くにあるかなり大きなリストランテで一緒に食べることになった。加えて、この日は小職の満71歳の誕生日(9月15日)を祝っていただくことになり、アルコールはまるで駄目な自分であるが、折角の機会でもあり、ワインをいただき、ピッツア・マルガリータと海鮮料理で楽しませていただいた。
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そして、一行の中では、ダンディで知られているY君からナポリの有名店で買ったと思われる水玉模様の素晴らしいシャツを頂戴した。コットンのしゃれたデザインで、とても着心地が良く、あれから10年が過ぎるが今も何かの折りにはお洒落を楽しませていただいている、友達とは有り難いもので改めて感謝している。
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食事を楽しんだ後、一杯機嫌のメンバーはそのままホテルには帰らずに海岸通りを散策しながら、ナポリの夜景を楽しみたいという言うことで3台のタクシーに分乗して、市街地の高台の展望の良いところまで行ってほしいと言ってドライブ。ところがこのドライバーたちときたら茶目っ気たっぷりの3人連れ、下町の住宅街の狭い急カーブの坂道続きであるが殆どスピードを緩めることなく冗 談を言いながら登っていく。時には、ナポリ民謡を口ずさみながら観光客を喜ばせようと大サービスであろうか。
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お客はそんな「もてなし」にワイワイ喜びながらも必死でベルトに掴まって通り過ぎる町の風景を楽しむだけの勇気はなかったというのが正直なところ。そんなドライ ブが10数分続いただろうか、市街地の高台のちょっとしたテラスに到着。彼らが自慢するだけあって、見事な夜景であったが、寧ろ、誰もが大笑いしながらも無事を祝って夜景見物。3人の運ちゃんたちは私たちにはおよそ聞き取れないナポリの下町言葉で冗談を言い合っている様子であった。これがナポリっ子気質というのであろうか、ナポリの第一夜は何ともスリル満点の楽しい夜であった。

(以下、次号)

写真&資料 (上から順に、ことわりのないものは筆者撮影 ピッツアの街ナポリを巨大ゴキブリが占拠する(ロケットニュースより) この時泊まったホテル(Excelsior Hotel)は、朝食会場もいい気分!(2012/09/16) 9月15日の夕食はみんな楽しんでいた! (2012/09/15) ナポリ市内の高台で夜景見物 (同上) ナポリのドライバーは、いい男が多く、スター並み!もっとも左側の白いシャツはY君、貸切バスのドライバーとしては、長年の経験あり! (同上) この日は、私もワインでちょっと浮かれ気分でした。 (同上)