2023.01.05
小野 鎭
一期一会 地球旅 243 英国の伝統・文化と田園を巡る旅⑮
本館と柱廊でつながった2つの翼棟から成る壮麗なこの宮殿は部屋数200以上があり、英国・バロック建築を代表するものとして、1987年に世界遺産に登録されている。庭園の面積は2,000エーカー(800ha)あり、これは日本の皇居の約3.5倍あるらしい。宮殿は1705年から17年かけて建設され、1722年に完成した。ブレナム宮殿を評価する上でこの庭園が大きな要素となっており、当初は英国式庭園であったが、その後、幾度か模様替えされ1925年から32年にル・ノートル様式(ヴェルサイユ宮殿などを建造したフランス造園家)のフランス式に改造され現在に至っている。
アン女王から下賜されたこの広大な領地と宮殿の規模は、多分、現在では考えられないほどの規模であり、マールバラ公は、1706年のラミイの戦いでも再びフランス軍を破っており、オランダからフランスを追放している。マールバラ公夫人であるサラ・ジェニングスはアン女王の親しい友人でもあった。このことなども幸いしているのだろうか。それにしても、論功として下賜されたご褒美の大きさには只々驚くのみである。
ところで、20世紀の英国の首相ウィンストン・チャーチルはマールバラ公ジョン・チャーチルの子孫であり、1873年にこの宮殿で生まれている。宮殿見学のコースの中では、W・チャーチルが幼少期を過ごしたという部屋も含まれていた。
エディンバラから湖水地帯、リヴァプール&チェスター、アイアンブリッジ、コッツウォルズ地方を周って、1,000㎞余、3泊4日の英国縦断のバスツアーはここで終わり、運転してきたドライバーとはここでお別れ、無口ではあったが必要に応じて窓外の風景について説明してくれたり、家族について話してくれたり、好感の持てる人物であった。ロンドンは明日の市内見学、明後日のフリータイム、そして3日後の夕方、帰国の途に着く。最後まで楽しい旅でありたい。(以下、次号)
写真&資料(上から順に)
* ブレナム宮殿 : Wikipedia&世界遺産大事典を参考に記述
Blenheim Palace : Experience Oxfordshire資料より
ブレナム宮殿前にて (2013年10月9日 筆者撮影)
宮殿前の池(宮殿敷地内) :(2013年10月9日 筆者撮影)
Wig and Pen : Key to the City of Oxford 資料より
ロンドン市内 ダブルデッカー(2階バス)とタクシー
(2013年10月9ノ日 筆者撮影)