2023.01.30 小野 鎭
一期一会 地球旅 246 英国の伝統・文化と田園を巡る旅⑱
 
一期一会・地球旅 246 
英国の伝統・文化と田園を巡る旅 ⑱ 
ロンドン その3 市内観光(1) 
 
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明けて旅行7日目、10月10日、市内見学は、専任ガイドの案内でバッキンガム宮殿、ウェストミンスター寺院、ロンドン・アイ付近、大英博物館、ケンジントン公園、ハイドパークなどを周った。このうち、入場したのはウェストミンスター寺院と大英博物館。バッキンガム宮殿は勿論、入れないし、メインが衛兵交替。これは翌日のフリータイムにゆっくり見ようということにして、宮殿をバックにして集合写真を撮った。この時、「私も一緒に入れてくださーい!」と言って入ってきたのは一人の日本人女性。こちらは意味不明!? もしかすると、どこかのパッケージツアーの一員であって、自分の所属するグループかと思ったのかも? ロンドンに着いてそのまま市内見学となり、間違えて入ってきたのかもしれない。そういえば、どこだったかは覚えていないが、私たちのバスに乗ってきて、自分の荷物が無くなったと騒いでいた人があった。いろいろな経験をしてきたことを思い出すのもこんな時です!? 
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ロンドンは、ローマやパリと並んで2000年以上の歴史があり、特に、中世から近世にかけて世界史上、大きな影響を及ぼしてきた英国の首都である。それだけに歴史的な建造物や様々なゆかりのある建物などが多く、市内見学は一日ではまかなえない。見どころや入場観光にはどこを入れ、どのように回るのか難しく、訪問箇所はかなり絞り込まざるを得ない。今回は、そんなこともあり、ウェストミンスター・アビー(寺院・修道院)と大英博物館に入場することとして、他に下車観光を2か所程度に絞り込んだ。この日のガイドから窓外の風景のほか、ロンドンの近況などについて説明を聴き、バッキンガム宮殿前からウェストミンスター地区に入って行った。 
 
この地域には、ウェストミンスター宮殿(現英国国会議事堂)、隣接するウェストミンスター・アビー(修道院、以下、寺院と書く)、セント・マーガレット教会など、11世紀に建てられた宮殿や修道院などの歴史的建造物が並んでいる。ゴシック建築の傑作であると同時に英国王室と議会、教会を象徴する建物群であり、1987年に世界遺産(*)として登録されている。英国国教会の教会であるウェストミンスター寺院は英仏のゴシック様式が混ざりあう堂々たる建物。1666年のノルマン征服以来歴代の王の戴冠式が執り行われてきた教会でもあり、ダイアナ妃の葬儀もここで行われた。警戒のための厳重な安全検査を受けてやっと入館できた。内部は荘厳なアーチ式の見事な天井と膨大な彫刻にあふれており、圧倒されるような思い。ステンドグラスも見ごたえがあることは言うまでもない。歴代の王たちが眠るコーナーを回り、政治家や文化人などの墓碑やモニュメントを見ながら故人の名前が掘られた敷石の上を歩くことには何となく抵抗を覚えるが西洋人の感覚は違うらしい。 
 
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ガイドの説明に耳を傾けているうちにこれまで聞いていた名高い人物が英国人であって、ここに眠っていることで改めて驚き、感慨を深くすることが多い。アイザック・ニュートンは万有引力の発見者、探検家のリヴィングストン、「種の起源」のチャールズ・ダーウィン、作曲家のヘンデルなどもある。シェークスピアは、数日前訪れたストラトフォード・アポン・エイボンにあるトリニティ教会に埋葬されており、ここには人物像の記念碑が置かれている。 
 
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この寺院に祀られている様々な世界史に名前を残す政治家や科学者や文化人と並んで、トーマス・パーという人物がある。152歳まで生きた長寿者ということが由来だとか。オールド・パーの異名で知られており、ウィスキーのブランドネームにもなっている。私自身はアルコールが苦手であることを以前にも書いたが、昔は有名ブランドのウィスキーやブランディを毎添乗ごとに3本ずつ買ってきた。社の業務用土産として使うためである。オールド・パーもよく買ってきた。墓銘碑にはトーマス・パーは、1483年に生まれ、1635年に没したとある。
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ウェストミンスター寺院の資料には、80歳で最初の妻と結婚、一男一女を得たが二人とも幼少期に亡くなり、100歳の時、妻に不貞を働き、私生児を設けて教会からの苦役に臨み、122歳で後添えを得たとか。中々の艶福家でもあったらしい。日本での長寿者としては、天海僧正がある。徳川家康に仕え、日光山の再興に着手し、家康を祀る東照宮造営の足がかりを作った人として、輪王寺慈眼堂に祀られている。生年がはっきりしないが、100歳以上の長命であったといわれる。(Wikipedia) 
 
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もう一つの関心事は、国王の戴冠式である。今回の旅行で最初に訪れたエディンバラで、運命の石といわれる「スクーンの石」を見た。古来、スコットランド王の戴冠式のとき、この石の上に座ることになっていた。イングランド王エドワード1世が1296年にイングランドに持ち去り、爾後この修道院で保管され、代々の王の戴冠式で戴冠のイスの下に置かれることになってきた。しかし、1996年にスコットランドに返還されて今はエディンバラ城に置かれている。この旅行は2013年であり、エリザベス女王の時代であったがいずれ次の戴冠式が行われるときは、ロンドンのウェストミンスター寺院まで運ばれるのだろうか、と興味を持った。昨年、エリザベス女王が崩御され、チャールズ皇太子が王位に就かれたが、戴冠式は、今年5月6日(土)に行われるとのこと。エディンバラからスクーンの石が運ばれてくるのだろうか、興味津々である。(以下、次号) 
 
(写真と資料、上から順に) 
バッキンガム宮殿前にて : 2013年10月10日 筆者撮影 
世界遺産 ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター・アビーとセント・マーガレット教会 : 世界遺産大事典(下巻)より 
ウェストミンスター寺院 : 2013年10月10日 筆者撮影 
William Shakespeare statue : Westminster Abbey Library 資料より 
Thomas Parr 版画と墓銘碑並びに略記 : 同上 
戴冠式のイスの下に置かれているスクーンの石 : 同上