2023.02.13 小野 鎭
一期一会 地球旅 248 英国の伝統・文化と田園を巡る旅⑳
 
一期一会・地球旅 248 
英国の伝統・文化と田園を巡る旅 ⑳ 
ロンドン その5 市内観光(3)

 
時計塔でおなじみのビッグベンを横に見ながら、官庁街を抜けて、ウェストミンスター橋を通って対岸に渡った。テレビのニュースなどでよく紹介される大きな橋である。橋を渡って左に回って少し走るとEDFロンドン・アイという巨大な観覧車がある。2000年、ミレニアムを記念して新しく建設されたとか。当時は世界最大であったが、その後、シンガポールや中国にもっと大きなものが建設されているらしいが、ロンドンの新たな観光スポットとして人気があると聞く。そして、観光客のグループの記念写真を撮るスポットにもなっているらしい。新設のロンドン・アイにはそれほど親しみを覚えないが、このすぐ隣に大きな建物、旧GLC(Greater London Council=通称ロンドン市庁舎)がありこちらの方が懐かしい。昔はこの建物の中にある行政機関などを幾度か訪れたことがある。現在、この建物のなかにはシーライフ・ロンドン水族館が1997年に造られており、こちらもたくさんの入館者があると紹介されている。ウェストミンスター橋の上には、ロンドン・アイであろうか、それとも水族館の入館待ちであろうか、長い列ができていたのがちょっと興味深かった。
パリでも同様に1900年の万博に合わせて建設されたオルセー鉄道駅は短命に終わったらしいが巨大な駅舎の建物が1986年に美術館として生まれ変わっている。ルーブル美術館とセーヌ川を挟んで対岸にあるこのオルセー美術館には印象派の絵画などが展示されており、年中賑わっている。美術館として改造される前、駅舎の中にあったホテルには自分も泊ったことがあり、オルセー美術館を訪れる度にホテル時代に宿泊したことも思い出す。しっかり作られた大型の建物はそれ自体ほかにも利用価値があるだろうし、多分、建築学的にも価値があり、何代にもわたって用途を変えて使われているという例としても興味深い。日本では、大型のビルであっても耐震基準の変更や設備そのものが古くなって使えなくなることもあるのだろうか、数十年で壊されて新たな都市計画と共に新しいビルが建設されることも多い。壊して作り直すこと=Scrap and buildが得意であり、そのことが日本の一つの特徴であり、それ自体も経済発展につながっているのではないだろうか。もっとも、ロンドンのGLCが市庁舎としての役割を終えたのは、ロンドンの行政組織が改革された結果にもよるものであるだろうから、やはり、Scrap and buildの一例かもしれない。 

GLCの近くには、もう一つ懐かしいところがある。ロンドン・アイに来るためにバスを降りたところのすぐ向こうにあるShell センターである。世界有数の石油・天然ガス等の多国籍企業であり、ロンドンに本拠がある。1967年に初めてロンドン&ヨーロッパを訪問したときに添乗したのは145人の大型団体であり、この中にシェル石油のガソリンスタンド経営者などのグループがおられた。当時、シェル石油グループは、Royal Dutch Shellとして、英国とオランダに中枢があったが、このうちのロンドンオフィスを表敬訪問され、自分も同行した。当時、このオフィス自体ロンドンでも数少ない高層の建物であったと思うが、私自身、生まれて初めて入った超高層ビルであった。あれから半世紀近くが過ぎ、2013年当時、テームズ川の南側一帯では再開発が行われていた。次々に新しいビルなどが建設されていたが今も、シェルセンターのこのビルはそのまま堂々と立っている。ここから少し離れたところに欧州一の高さのザ・シャードという三角形のユニークなデザインの超高層ビルが建てられていた。その中には、高級ホテルのシャングリラ・ザ・シャードも入っているそうだが、高所恐怖症のある自分にはおよそ縁無き話である。(以下、次号)
 
(写真と資料、上から順に) 
ロンドン・アイ前での我がグループ : 2013年10月10日 筆者撮影 
ウェストミンスター橋の上で列をつくる人、後方にロンドン・アイとGLC(旧ロンドン市庁舎)、高層ビルはシェル石油本社 : 2013年10月12日 筆者撮影 
パリ・オルセー美術館内部 : Time out Paris資料より 
Shell Centre : 2013年10月10日 筆者撮影 
建設中のThe Shade London (高さ310m、87階建て) :同上