2023.04.10 小野 鎭
一期一会 地球旅 256 英国の伝統・文化と田園を巡る旅㉘
 一期一会・地球旅 256 
英国の伝統・文化と田園を巡る旅 ㉘ 
ロンドン その13 旅の終わりに 
 
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 今回宿泊したのはケンジントン地区にある大型のホテルであった。ピカデリーサーカスやトラファルガー広場などのあるところを都心とすれば、それより少し西側のにぎやかな地域であり、中クラスホテルなどが比較的多い地域でもあった。ホテル業界も御多分にもれず経営母体が変わることがあり、このホテルにはそれまでに数回泊っているが多分1~2回ホテル名が変わっていると思う。昔は、日本人グループもよく見かけていたが、この時はそれらしいグループを見かけず、中国人や韓国人が多かった。市内見学で回っていても、昔は、例えば、1970~90年代までは日本人グループをよく見かけたし、中国人などのグループはあまり見かけなかったが今回は反対でしかも圧倒的に多かった。入場観光や下車してガイドの説明を聞いていても近くから聞こえるのは中国語や韓国語が多かった。日本人の団体旅行は次第に少なくなり、個人旅行や少人数の旅行が多くなってきた。行き先も含めて日本人の旅行パターンは2000年代に入って、それも年ごとに変わってきていることを改めて感じた。 

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 久しぶりのロンドンであったので旅の終わりに、ということでフォートゥナム&メイスンの店に行ってみた。Fortnum & Masonは、ピカデリー通りに本店があり、通称Fortnum’sと呼ばれて人気があると聞く。食品雑貨店としてフォートゥナムズは、1707年に創業、高品質の食品を供することでビクトリア朝時代を通じて評判を高め、総合百貨店として発展してきた。今日も外国の食材や特産品から基本的な食品まで様々な食料品を中心とした品揃えに重点を置いており、とりわけ紅茶は有名である。中でもRoyal Blendは旅行者にも手軽に買えて人気があった。過去110年以上にわたって英国王室御用達の店舗として認定されており、お店の入り口にはHM(国王陛下)とPrince of Walesご用達しの紋章(Royal Warrant of Appointment)が掛けられている。日本でも皇室御用達のお店などのことを聞くことがある。英国では老舗の店舗などでよくこの額を見かけることがあった。何よりも品質と信用を第一としていることの証しであろう。 
 
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 日本では高級百貨店等で買い物をする余力などほとんどなかった現業時代あるが、いつの頃かロンドンに行くたびにF/Mの紅茶を買ってきては、顧客先や家族に喜ばれていた。自分自身は、ネクタイなどを買っては少しだけ悦に入っていた当時のことを思い出す。ずいぶん背伸びしていたなあ、と苦笑を禁じ得ない。2013年のこの旅行でも、久しぶりにRoyal Blendの紅茶を買ってきた。毎回自分だけ旅行に出かけては留守をさせていた家人には申し訳ないと思っていたので少しだけ面目を施すことが出来た。今は、空になったこの缶を見るたびに、カミさんがとても喜んでくれていたことが懐かしく思い出されてしんみりした気分になる。 

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 この旅行のお別れ夕食会は、これもピカデリー地区にあるBentley’s で個室をとり、メンバーには喜んで頂くことが出来た。今回は2013年10月4日から13日迄10日間の英国旅行であったが、例によってこの旅行の印象や旅先での出来事などを話しては楽しい時間を過ごした。そして今回だけでなく、これまでの旅行であるとか、半世紀以上前の高校時代、カッコ良く言えば、青春時代の思い出など次々に飛び出しては賑わった。それも今回初めて出る話題はあまりなく、幾度も聞いたり、笑ったりしたことばかり。料理を楽しむこともさることながら、汲めども尽きない談笑のひと時であった。 

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 実は、英国の後も「まだまだ元気に台湾旅行」や国内旅行などもあるが、足の長い旅としては、この時が最後であった。同期生の旅行のお世話をさせていただくようになったのは、2002年が最初。そろそろ第一線を退く人や経済的あるいは時間的にも余裕が出てきた人、何と言っても女性パワーが元気であった。卒業して42年、還暦記念欧州旅行としてウィーンからミュンヘン、スイスアルプスのミューレンへ26人の参加があった。これがきっかけとなって、旅行好きの有志などからまた行きたいね、などの声が届くようになり、2018年の喜寿記念城崎温泉への旅行までヨーロッパへ6回、タイ・台湾などアジアが2回、国内2回であった。同期会代表の有松兄、旅行好き仲間の代表与田兄、そして毎回の旅行に参加していただいた多くのメンバーに感謝の気持ちでいっぱい。ほとんど毎回参加していた人もあるし、一方で短期だけの人もあった。それらの旅行で何十年ぶりかの再会の喜びを味わっていた人もあるし、旅行を通じて再び交流が始まった人もあるらしい。旅行の余韻を楽しんでいる人も多いし、テレビの旅番組を見てはあそこも行った、ここにも行ったと懐かしがっている人もある。毎回の旅行を担当させていただけたことを光栄に思うと共に、心からの謝意を表し、メンバー各位が健康であることを願ってやまない。 
 
この旅行で最初に訪れたエジンバラで買ったCD「スコットランドのバグパイプとストリングス」のChariots of Fireを聴きながら英国の旅の思い出を閉じよう。 
 
(写真と資料、上から順に) 
資料 
 Fortnum & Mason : Wikipedia 資料より 
写真 
ケンジントン・ホリデイインからのロンドン市内風景(ロンドン・アイ、シェルセンター、ザ・シャーデなども見える): 2013年10月12日 筆者撮影 
 英国(ウェールズ&イングランド)国王御用達の紋章 : Royal Warrant by Appointment to HM the King(Wales and England)資料より 
Fortnum & Masonの紅茶  Royal Blend : 2023年3月6日筆者撮影 
 お別れ夕食会(Bentley’s Oyster Bar & Grillにて) : 2013年10月11日筆者撮影 
 ハプスブルク家の栄華の跡を訪ねて・ヴェルサイユ宮殿にて : 2006年7月30日 筆者撮影