2026.01.05 小野 鎭
一期一会 地球旅 395 大阿蘇から久住への旅(6)
一期一会・地球旅 395 
大阿蘇から久住への旅(6)

大阿蘇の北側外輪山の頂上は、緩やかな丘陵地が続いているところが多い。草原に覆われて、多くのところに牧場が広がっている。大阿蘇と久住方面は、国立公園になっており、勝手な開発などは行えないようになっている。草原には、文字通り、肥後のあか牛が草を食んでおり、主要道路には、ニックネームが付されているところが多い。大観峰からの45号線・阿蘇スカイラインにはかっこ書きでミルクロードと書かれている。久住高原のリゾート施設へ向かう道は霧がさらに深くなり、黄色のフォッグランプを点けているクルマが多かった。やがて、北へ方向を転じ、11号線(やまなみハイウェイ)にはいる。熊本県産山村(うぶやまむら)と小国町の境界線にほぼ近い地域であり、瀬の本高原と呼ばれている。この旅行から戻った11月中旬に熊本県から大分県にかけて地震があり、震度5強の地域もあり、この地方であったことを知り、ドキッとした。やまなみハイウェイを下りて国道442号線に入るとすでに大分県の竹田市に入っており、久住高原と案内があった。この国道は、旧小国街道とも書かれている。依然として牛たちが草を食んでいる風景を見かけたが、赤牛とは呼ばず、豊後牛として肥育されているのだろうか。一帯は1,000メートル前後の木立と草原などが入り混じっていた。木々は早くも赤や黄色のまさに雨に濡れてしっとりした紅葉風景が続いていた。
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間もなく、リゾートホテルに到着、建物はすべて平屋造りでロビーやレストランなどを中心に大小の矢印二つを重ねて下に向けたようなかたちで建物が配置されている。矢印の中心部分にフロントデスク、土産物店などがあり、その奥の方に和と洋のレストランがある。内側の小さな矢印の先端部分に当たるところに大浴場がある。一方、大きな矢印部分には、客室が並んでいる。平屋建てであるが、高床式になっており、夏は高原を吹き抜けるさわやかな風が入るように設計されているとか。春の野焼きの香り、夏から秋にかけては虫たちの音色など、四季を感じていただけます、と案内にある。夜はきっと満点の星空を仰ぐことで楽しめることであろう。しかし、前夜に引き続きこの夜は昨日以上の濃霧、残念至極!部屋はゆったりした造りで、私が泊まったのは次妹夫婦と3人で和洋室であった。内湯もあり、室内と半露天風呂になっていた。いずれも紅殻之湯(べんがらのゆ)と呼ばれて茶色で少しぬるめ。この日は前述したように濃霧に覆われていたこと、加えて、冷たい雨が降っており、露天風呂を楽しむにはちょっと勇気が必要であった。 

私たちの部屋は、前述したように大きな矢印の先端部分に当たっており、ロビーからはかなりの距離があった。各客室前の通路を抜けていくのでもちろん屋根はあるが、通路の一方は客室側であるが、もう一方は内庭に面して直接外気にさらされているため、夜間はかなり冷え込む。起伏もあり、妹は両手に、私は片手に杖を使っているのでこの道のりは少々難儀であった。内湯は、床に置かれた浴槽ではなく、床から下に掘られており、座るのが不自由な身にはお湯に入るのが少々不便であった。転倒の危険もあるのでフロントに連絡してシャワーチェアを届けてもらった。これがあれば、腰かけて一歩ずつ入ることで少し楽であったと思う。自分が先に入湯したので妹のためにはチェアを届けてもらったというわけ。ホテル内では通路が長く、多少傾斜があり、いくつかの部屋をのぞいては少々段差があるもののそれ以外は車いすで動くとしても傾斜さえ克服すればおおむね支障はないと思われた。
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但し、私たちのように矢印の先端部分に位置する客室が割り振られた場合は、フロントやレストランなどに行くにはかなりの距離があり、滞在中は、毎回歩行訓練を受けている気分であった。もし、もう一度宿泊することがあれば、予め、フロントやレストランに近い部屋を手配していただきたいと申し出ることが先決であろう。翌朝、早起きして、大浴場に行ってみた。久住の自然が生み出したお湯は地下深くより湧き出した炭酸水素鉱泉だそうで大気に触れると一気に茶色に替わることから紅殻(べんがら)之湯と名付けられたそうである。豊富なミネラルと肌触りは炭酸泉ならではの滑らかさであり、茶色の湯を楽しませていただいた。この日も残念ながらやはり深い霧と小雨であったので露天風呂に浸るには少し勇気が必要であったが、一度湯に入ってしまうと新鮮な朝の空気を腹いっぱいに吸うことができ、爽快な気分であった。 

この時の宿泊も義弟の計らい。以前に泊まったことがあるほか、日帰りで食事に寄ったこともあるなど、楽しい経験をしていたこと等の理由から今回、ここを選んでくれていたのだった。この宿のもう一つの自慢は食事であろう。がっしりした造りの大きなレストランでは、テーブルがゆったり配列されて落ち着いた雰囲気。家族連れや仲間たちと一緒に食事を楽しむことができるであろう。豊後牛はじめ、地元の豊富な旬の食材など地産地消を大切にしたいとある。私たちは後期高齢者かそれに近い年齢層、食事は量より質を楽しみたい。九重ハーフコースのメニューは、前菜前の一品、オードブルは鮭と鴨肉のロースト、ポアソン(魚)料理)は白身魚、メインはおおいた和牛のフィレ肉、デザート&コーヒーと豪華な内容。2泊3日の大阿蘇から久住への旅の仕上げを飾るにふさわしい一夕であった。 
次の日も依然として霧は晴れず、小雨の中、旅行3日目、最終日。義弟は帰り道の途中、少し寄り道をして、もう一度、大観峰からの雄大な 眺めを楽しんでほしいと、阿蘇方面を目指した。久住高原から再び、熊本県の瀬の本高原を走る。草原は霧雨の中に広がっていた。残念ながら願いは叶わず、大観峰から内の牧方面など阿蘇谷一帯は望むことができずじまいであった。それでも、写真を見るとわずかに阿蘇五岳がそびえ、中岳からは噴煙が上がり、阿蘇谷一帯の緑野と集落が点在している。もう一つの楽しい思い出は瀬の本高原に広がる植木アートであった。鳥や牛やキリン、イノシシ、あるいは原始時代の動物たちらしい姿などたくさんの植木を見事に伸ばさせている自然のアートは見応えがあった。この年(2025)年は、この植木アートを一人で作り上げている生育者(?)が歳男らしく、自己紹介の案内も置かれていた。それにしても阿蘇の大自然の中にこれだけみごとに自然と調和させている植木アートは感動ものであった。(以下、次号) 

《写真、上から順に》 
・久住高原レゾネートクラブくじゅう(背後は右が稲星山、左奥が久住山1787m):ホテル資料より 
・レゾネートクラブくじゅうの大浴場紅殻之湯(べんがらのゆ):ホテル資料より 
・大観峰からの眺め(内牧方面):2025年10月 筆者撮影 
・瀬の本高原に見る植木アート・手前の白板に「今年は僕(巳)の年です」と案内があった。 2025年10月 筆者撮影