2023.05.30 小野 鎭
一期一会 地球旅 263 カナダの大自然と遊ぼう7
一期一会・地球旅 263
カナダの大自然と遊ぼう ⑦ バンクーバー ⑤

 出発して3日目の朝、あっという間のバンクーバー滞在を終え、この日はアルバータ州カルガリーへの移動。 昨夜は夕食会の後で今朝の出発に備えて、起床時間(Morning Call)と荷物出し、朝食は各自ホテルのコーヒーショップ(レストラン)で召し上がっていただき、所定の時間にロビーに集合いただきたいと口頭で伝え、メモ書き(小野は「おはようカード」と呼んでいた)を各部屋に1枚ずつお渡ししてある。朝食のバッフェ(Buffet)は6時30分からとなっているが、自分は30分前にフロントでチェックアウトのため各部屋の個人払いなどの有無についても確認を申し入れておいた。次いでレストランに行ったところ、何となく様子が変だと感じた。ウェイターらしきスタッフがおらず、ドアも半開き状態。再度、フロントに行って聞いたところ、ベルマン(ポーター兼務)やレストランなどのスタッフたちが今日はストライキをしているとのこと。今朝の出発に備えて早めに荷物を廊下に出してください、とメンバーには伝えてある。その荷物については、フロントの係が代わりにロビーまで運ぶのでそこからは自分たちで運び出してほしいとのこと。
 
 一方、レストランではマネジャーらしき人物がバッフェの準備をしていた。セルフサービスであるので、自分たちで食事は運ぶとして、コーヒーなどの飲み物も今朝は自分たちで注ぐことになった。メンバーには一連の流れをお伝えして、自分は食事を早々に終えて、ロビーで出発準備。荷物の個数と名札の確認が肝要! 必要な個数はあっても他人の荷物が紛れ込んでいることもある。貸切バスでの出発は、正面玄関ではなく、ロビーから横の通りへ出る別の出入り口であり、10段くらいの階段とエスカレーターがある。車いすの方には正面玄関から廻っていただくことになる。すでに滞在中にも幾度かそれぞれの出入り口を通った経験がありメンバーには要領を得ていただいている。
 
 この日は、10時発の国内線であり、ホテル発7時半、空港着8時15分として、バスが手配してある。カナダやアメリカでは、多くの場合、バスのみの手配で送迎担当は不要としてきたが、今回は車いす使用の方や高齢の方もあり、ローカルガイドにSending Assistantとして来てもらうように頼んであった。7時過ぎにロビーでガイドと会い、念のため、空港でのチェックインまでの段取りとカルガリー到着後の予定についても再確認した。バンクーバーには今回の現地手配のオペレーションセンター機能もある。カルガリーでは現地ガイドと貸切バスが来ることになっているが、その翌日からはバスのみの手配でバンフに向かうことになっている。これまで何十年も同様のやり方での各種接遇準備であるが、どれか一つでも狂うとか、サービスが欠落すると動きが止まってしまう。手配通り進むことが当然であるが、それでも、トラブルが起きることがある。一番困るのが貸切バスの遅れや手配ミス。自分の経験で言えば、いよいよとなれば現地案内は自分でも多少のことは何とかできるが、「足」が無くなると致命的なロスとなる。それらのことなども確認しながら、出口へ向かった。
 外へ出てみるとホテルのスタッフたち10数名がプラカードやポスターをもって輪になって廻っていた。より安全な労働環境の要求や労働条件の改善を求めているのだろうか、それでも比較的静かに気勢を上げていた。日本でのストライキ風景はテレビで観るくらいであるが、日本のようにハチマキはしていなかった。後日譚であるが、今回この稿を書くにあたり、この時のストライキについて調べてみたところ、バンクーバー市内で4つのホテルで計1,000人規模のストであったとかで新聞やテレビ等でも大きく報道されていたらしい。
 
 出発の15分くらい前にはバスは来るというのが暗黙の了解になっているが、この日はまだ来ていなかった。すでに玄関近くに荷物も出してあり、メンバーの集合と荷物の積み込みに備えてバスを待った。そして、なんとなく嫌な予感がした。7時30分になってもバスが来ず、ガイドはバスのデポ(ガレージ)や予定されているドライバーと電話で連絡しているが要領を得ないらしい。よくあるのは、交通渋滞による遅れであるとか、バスの故障などがあるが実のところ、ドライバーの遅刻であるとか手配ミスというのもあるらしい。
 
 この日は、国内線であるので若干の余裕はあるがチェックイン、安全検査、搭乗ゲートまでの移動時間などから逆算するとそれでも航空便出発の90分前には着いていないと間に合わなくなる! バスがこれ以上遅くなるとすれば、それ以上は待てないと判断し、代替策はタクシー分乗という手段を取らざるを得ない。全体の人数と荷物の個数を考えると、タクシー4~5台が必要となる。ガイドに強行策としてタクシー4台の手配を要請した。ここでもう一つ厄介なことが発生した。タクシーは玄関口に待機しているが、貸切バスを利用する場合は、ホテルの一階下の出入り口を利用することになっており、メンバーも荷物もそこで待機しており、正面玄関までロビー内を移動しなければならない。幸い、大型のタクシーなどもあり、何とか必要台数の目途が着き、4台に分乗し、それぞれにローカルガイド、事務局、添乗員が乗り、空港へ直行した。
 朝のラッシュアワー時ではあったが、空港は都心から外へ出る方向あり、大きな渋滞もなく、30分余りで全員が無事に国内線ターミナルに到着。それぞれタクシー代の立替払いなどを処理して、無事チェックインをすることが出来た。事故は論外として、タクシー分乗で一番困るのが一台でも道に迷うとか、大きく遅刻することである。この時は、前後して走ったことも幸いしたが何の事故も起きておらず、今でも胸をなでおろしたいことである。
 
 実は、他にもう一つあった。ホテルのロビー階から一階下の出口に降りる時、自分は荷物を持ってエスカレーターで移動したため、うっかりして転倒し腰と腕を痛めたことである。メンバーの皆さんには、大きな失態をお見せしてしまった。その時は痛みを覚えなかったが、旅行中に数日間痛みが出ていたことは今も苦い思い出。バンクーバーでは、お客様が到着当日転倒されて病院で治療を受けられた。自分自身も大事には至らなかったが似たようなミスであり、痛恨の極みというべきか。(以下、次号)
 
(写真と資料、上から順に)
バンクーバー・ハヤット・リージェンシーホテル
: Hyatt Regency Vancouver資料より
ホテル従業員のストライキ風景 : Huffpost紙 2019年9月19日より借用
バンクーバーのタクシー : 2009年9月2日 筆者撮影