2023.08.14 小野 鎭
一期一会 地球旅 274 カナダの大自然と遊ぼう18
一期一会・地球旅 274
カナダの大自然と遊ぼう ⑱ カナディアン・ロッキー ⑧
 
 バンフからジャスパー迄、ハイウェイとパークウェイの沿線には、集落らしいものはバンフ以外にはレイク・ルイーズの小さな集落があるのみ、どこまでも両側には森林が広がり、その向こうには岩山が続いており、住宅などは勿論見かけない。そこで、バンフの街に住むとか、ここで店を構えたりするにはどのような条件があるのだろうか? 些細なことに興味を持ち、バンフ国立公園の資料として、Everything You Need to Know About Buying Real Estate in Banffから一例として、国立公園内の住宅を買うには?として、バンフの住宅を案内しているエージェントの案内を参考に調べてみた。
 
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 バンフ国立公園は、1887年(明治20年)カナダ初の国立公園として制定されたが、元々はロッキー・マウンテン・パークとして知られ、土地の大部分がカナダ太平洋鉄道会社(CPR)によって連邦政府に返還された。バンフ国立公園は、連邦所有の土地であるので、土地を使用する場合(家屋を建てる場合など)、土地の所有者(国)と借地権契約(Leasehold Agreement)によって一定期間、それを保持することが出来る。多くの不動産が42年間の契約が多いそうであり、それらの借地権は自動的に更新される。これにより、その土地に建物が建てられ、それを借りるなどして、店舗をつくるとか、居住することが出来る。ここに居住するには、国立公園内で雇用されていること、または、国立公園内で日常過ごしていくために必要な事業を営む者、または退職直前まで5年連続で公園内に住んでいる個人、または、公園内にある教育機関の正規の学生である個人、または、公園内で雇用されている者の配偶者、または、事実婚パートナー、または、扶養家族、などである。
 
 つまり、国立公園内の土地を売買したり、勝手に建物を建てたりすることは出来ないということであり、不動産管理が厳格に行われていることがよくわかる。バンフの街で住宅やアパートなどに関する案内を見たことがあるが、いずれもこれらの規則に則った不動産であろう。日本では、国立公園は国有林など公有地も多いが、私有地が国立公園の指定地として含まれているところもある。私有地での開発や営業、居住などは国立公園法に拠るほか、通常の関連法規に従うことは当然であるが、一方では土地や建物など不動産所有者としての権利主張もあるだろう。カナダのように厳格に環境や自然を保護する上では、わが国では環境保全や保護などがむつかしいという側面もあると思われる。
 
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 ところで、バンフの借地権契約は通常42年間期限が多いとあったが、これについて思うのは、オランダの干拓地である。オランダの国土面積は、日本の九州の1.1倍くらい、総人口は1,700万強であるが、国土の1/4は海面より低い。干拓地が多く、干拓事業は、17世紀(日本で言えば、江戸時代始め)から行われてきており、今日も営々として継続されている。風車はその象徴と言ってもいいだろう。1970~90年頃、これらの干拓事業をよく見に行った。干拓地にはチューリップ畑始め農場や牧場が広がっている、一方、都市や住宅地、工業用地などもたくさんある。オランダでは、「地球は神様がお造りになった、しかし、オランダはオランダ人が造った」という言葉をよく聞く。農場などの土地の保持については、99年間または12年間、いずれかの契約というのが多かった。つまり借地権契約であり、欧米にはこのような土地使用の契約があることも多いらしい。建物の家賃や売買価格の上下や騰貴などはあるかもしれないが、そのような土地であれば、土地そのものの不動産騰貴は多分、起きないであろう。

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自然環境についていくつか考えてみた。公園利用上の規則(Park Regulations)が国立公園ごとに明記されている。バンフについて見ると以下のように27の項目が挙げられており、それぞれの項目ごとにさらに細かい規則や説明が書かれている。
 
 許可が必要な活動、航空機、アルコール、指定地域の立入禁止と制限、自転車、ボート遊び、キャンプ、大麻、日帰りの利用、ドローン、電動自転車、入場料、撮影と写真撮影、銃器と狩猟、火災、花火、釣り、ゴミ、発電機、電動車両、自然および歴史的対象物、駐車、許可と営業許可、ペット、喫煙と電子タバコ、制限速度、野生動物まで各項目について、具体的な説明が書いてある。
 
 大前提として、訪問者はカナダ国立公園法と国立公園一般規則を理解しておく必要があること。 カナダ国立公園法および/またはカナダのその他の国立公園の規制に違反すると、立ち退き、出廷、および/または最高 25,000 ドルの罰金を含む結果が生じる可能性がある。それぞれの規制に関する質問については、パークス カナダ ビジター センターに問い合わせるように、とある。各項目を開いて見ると自分にとっても興味深いことがたくさん書いてある。その中でいくつかをひろってみたいが、それは次号とさせていただきます。(以下次号)
 
【資料と写真 上から順に】
〈資料〉
・Everything You Need to Know About Buying Real Estate in Banff : バンフ国立公園
・Buying a Home in a National Park  :   Canmore Real Estate Group
 
〈写真〉
・Banff 1887(Brief History of Canada’s National Park) : Parks Canada 資料より 
・ボウ川で憩うバンフの人たち : 2009年8月29日 筆者撮影
・オランダ・干拓地に見る風車と運河 : 1980年代 筆者撮影
・Park Regulations のホームページの表紙 : Banff National Park