2023.08.21
小野 鎭
一期一会 地球旅 275 カナダの大自然と遊ぼう19
一期一会・地球旅 275
カナダの大自然と遊ぼう ⑲ カナディアン・ロッキー ⑨
カナダの国立公園利用上の規則として、バンフの場合、27項目が挙げられており、それぞれについてさらに細かく具体的な説明が付されている。その中で私自身が興味深く感じたことをいくつか書いてみたい。とは言いながら、その前に日本ではどんな規則があるのだろうと、調べてみた。わが国では、国立公園は環境省が所管しており、「国立公園利用上のマナー」と題した説明がある。「多くの方に楽しく利用していただくために、国立公園内では、自然を大切にすることを心がけ、次のことを守ってください」と続いている。
1) ルールを守ってください。場所によっては、法律で規制されています。動植物を取らないでください。石を持ち帰らないでください、以下、生態系のバランスの崩壊、植生の破壊、野生動物の誘因、山火事防止、施設を大切に使うこと、落書きは犯罪、とある。
2) マナー みんなが快適に国立公園を利用できるように、自然と他所に思いやりをもって接しよう。そのためには、
① 無理のない行動計画=情報取集、自己責任、天候&アクセス、登山計画、火山情報
② 安全運転=野生動物との衝突防止、動物の生存侵害、植生・生態系の保護等
③ トイレの事前確認=事前トイレ使用、携帯トイレ、排泄物による水質・土壌汚染
④ 木道や歩道から外れない=自然・環境破壊、ストック⇒登山道の侵食防止
⑤ ゴミは捨てずに持ち帰る=風致・景観保護、ゴミに拠る野生動物の誘因防止
⑥ 海域にある国立公園では、潮の干満、潮位、海流の事前確認=事故防止
⑦ フィンでサンゴを折らないように=貴重なサンゴを傷つけない
⑧ 喫煙は決められた場所で=他人への迷惑、火事の原因、灰や吸い殻の持ち帰り
⑨ 地域への配慮 : 国立公園には、人の生活する場所も含まれており、農林漁業を妨げる行為や、私有地への勝手な出入り、騒音など、その地域で生活する人が困るような行為をしない。
以上のようにマナーやルールとしてあげていることが特徴であろう。「地域への配慮」を呼びかけており、日本とカナダでは、国立公園対象地域の所有形態が大きく異なることも多く、このことは容易に理解できる。
以上のようにマナーやルールとしてあげていることが特徴であろう。「地域への配慮」を呼びかけており、日本とカナダでは、国立公園対象地域の所有形態が大きく異なることも多く、このことは容易に理解できる。
さて、カナダはバンフの場合であるが、特色あるところを見てみよう。
ボート遊び:いかなる種類のモーター付き船舶もミネワンカ湖でのみ許可。 水上バイク (例: Sea-Dos、ジェット スキーなど) および曳航式ウォーター スポーツ (水上スキーなど) の使用は、いかなる水域でも不可。ジャスパーについて見ると、ジャスパー内の水域ではガスモーター使用は禁止。電動モーターの使用は、マリーン湖ほか4つの湖でのみ許可、とあり、バンフより許可されている湖水が多い。
ミネワンカ湖とジャスパーでは、マリーン湖で遊覧船に乗った経験があるが、レイク・ルイーズやボウ湖では、カヤックまたはカヌーなどしか見たことがない。湖の静寂さと水質汚濁の防止、危険防止などが保たれている所以あろう。バンフとジャスパー、二つの国立公園の面積は、我が国の四国とほぼ同じであり、そこにある内陸水面の数を考えるとこれは驚くべきことである。
キャンプは、指定されたキャンプ場でのみ許可される。キャンプをする人は清潔保持、騒音防止、サイトでの全責任を持つこと。パークス・カナダのスタッフは、野生動物保護の観点からキャンプ場内を巡回する。道路端、駐車場、登山口、日帰り使用区画内でのキャンプをすることは厳禁、など具体的な説明がある。アイスフィールド・ハイウェイ沿線には数か所のキャンプ場があり、各キャンプ場には定員であるとか各種設備等についての説明がある。
大麻は合法であるが、大麻使用に関する連邦、州、地方自治体の規制を理解しなければならない、という記述もあり、これも自分にとっては、驚きである。
ピクニック指定地などの日帰り利用エリアは、午前 7 時から午後 11 時まで利用可。 指定場所のみで火の使用が許可されており、金属製の暖炉とストーブ付きの調理用シェルターはパークス・カナダが設置しているのでそれを使うこと。キッチンシェルター内でのアルコールの使用やいかなる種類の喫煙、キャンプも禁止。
ドローン(無人航空機) の娯楽目的での使用は、すべての国立公園で禁止。
普通の自転車及びペダル付き電動アシスト自転車は、バンフ国立公園内の道路および一部のトレイルでのみ許可。
銃器(ペレットガン、ベアバンガー、弓、スリングショットなどを含む)の使用と狩猟は不許可。個人の主な敷地内または高速道路を走行中の自動車内を除き、銃器の所持は禁止。 輸送中、銃器はケースに入れるか、銃器の一部が露出しないように包装すること。
バンフ国立公園入園料 バンフ国立公園に入るときは、入園料が課される。一日大人CA$10.50(約1000円少々)、因みに全国の国立公園入園可能な年間パスとして、72.25(約7300円少々)がある。アメリカなどでも国立公園の入園料が必要である。日本の国立公園は一般に入園料は不要であり、日本とは違う決まりである。
ここまで、興味ある事項を見てきたが、他にもいくつか興味ある事項があるので、特徴的なところを次号に書かせていただきます。(以下、次号)
【資料と写真 上から順に】
〈資料〉
・Parks Regulations Parks Canada Banff National Park & 一部ジャスパーNPからも引用
・国立公園利用上のマナー 環境省
〈写真&イラスト〉
・木道や歩道から外れない : 国立公園利用上のマナー 環境省
・地域への配慮 : 同上
・ミネワンカ湖畔にて : 2009年8月29日 筆者撮影
・マリーン湖の遊覧船上にて : 2009年8月31日 筆者撮影