2023.10.30 小野 鎭
一期一会 地球旅 285 カナダの大自然と遊ぼう29
 一期一会・地球旅 285 
カナダの大自然と遊ぼう㉙ Can-Rock⑲ 
旅の終わりに 

 
 「カナダの大自然と遊ぼう」はあちらこちらですっかり道草を食ってきたが、このあたりでまとめよう。コロンビア・アイスフィールド探訪を終えた翌日、メンバーは自由行動、バンフでの最終日であり休養をとるとか、お土産を買いに行くなど、三々五々連れ立って市内で楽しい時間を過ごされた。土産物店では、キング・サーモンやサーモン・ジャーキーを買う人もあったが、興味を示す人が多かったのはメープル・シロップであった。液体であるのでそれなりに重く、手の平サイズくらいの小さな容器に入ったものを選ばれる方が多かった。カナダのおみやげとしては、一番ポピュラーで値段も手ごろであり、求める人が多い。メープル・シロップの主たる産地はカナダ東部のオンタリオ州やケベック州と聞くがこの際、あまり難しいことを言うと嫌がられるのでこのあたりにしておきましょう。私もパンケーキのときのお楽しみということで買ってきました。さらに、チョコレート始め、Banffなどの地名が入ったT-シャツはここでも人気。アイスワイン(貴腐ワイン)を求める人もあった。それなりの値段であるがカナダワインに詳しい人には人気の品であろう。昔は、カナディアン・ウィスキーや子持ちわかめ、カナディアン・ビーフも人気であったが、時代が変わり、日本人旅行者のお土産への趣向も変わってきていることを感じる。 

 
 お買い物の後は、市内を散策するグループや、カフェなどでお茶をする人もあったが、温泉に行った人たちもあった。バンフ一帯は1877年にカナダ初の国立公園として制定されたが、発端は、CPR(カナダ太平洋鉄道)の建設時、このあたりで温泉が発掘され、これが呼び水となって周辺の景色の良さを探勝する観光客や登山客など訪れる人も増え、観光地として讃える一方、この大自然を保護保全しようということで国立公園に指定されたのであった。先駆けとなったのは、バンフ温泉、まさにBanff Springであり、この名前は、CPRがこの地に建てた老舗ホテルとして今も堂々たる風格を見せている。サルファー山のふもとにあるバンフ温泉は、今も評判でカナダ人はもとより、世界中からの観光客などで賑わっている。アクセシビリティも良く、車いす使用の方も入浴しやすいように設備が整えられている。https://hotsprings.ca/banff/accessibility/ とは言え、日本の温泉地の大浴場のように素裸というわけにはいかず、水着着用となっており、ヨーロッパのクアハウス(温泉保養施設)などの温泉プールと同様である。 

 バンフ最後のフリータイムを楽しまれたメンバーは、市内のレストランでさよなら夕食会。中心街では、名前の通ったレストランであるが、しかし、堅苦しさはなく、和気あいあいのひと時であった。食事を楽しみながら、グループの代表Y氏の司会でお一人ずつ旅の印象を語っていただいた。このグループでは、これが毎回の旅行の習わしであり、それをうかがうことは私にとっても印象深く、かつ、緊張するひと時でもあった。Y氏とは、25年余りのご交誼をいただいている。さいたま市でこの組織を立ち上げられ、知的障害のある方などの社会参加を進めようと活動される一方、遊びやレジャーを通じて楽しいことをやろうとさまざまなサービスやプログラムを展開しておられる。近くの自然やスポーツ・レジャー施設を利用するとか、近隣各地へのお出かけや旅行などのほか、数年に一回、海外旅行も企画してこられた。2008年に世界一美しい海を見に行こうとパラオへお出かけになり、続いて、世界一美しい山を見に行こうとスイスのベルナーオーバーラント、オーロラ探勝はフィンランドの北極圏を超えた雪原まで、そして地球の歴史を探ろうとグランド・キャニオンへ。そして、今回の旅行であった。毎回の旅行は趣向を凝らした内容が含まれており、ご参加各位にはその都度、ご好評を得ていただくことができた。そんな感謝の思いがいっぱいでそれを私は述べさせていただいた。そして、特に今回の添乗を通じて演じた不甲斐ない動作や配慮不足について申し訳なかったことを素直にお伝えし、自分なりにカタチを付けた思いであった。 

 翌日、4日間にわたって滞在したバンフを発ち、帰路に着かれた。途中、バスの車窓には、白雪をいただいた峩々たる山稜が続き、山頂にはわずかながら氷河が見え隠れしていた。そして、次第にボウ渓谷は広がり、いつしかと広大な緑野となりトランス・カナダハイウェイをバスは快調に疾走していった。カルガリー国際空港から11時間の飛行ののち、予定通り成田空港到着、一行は笑顔のうちに解散された。(この項、完) 

【写真、上から順に】 
・メープル・シロップ(1リットル入り) : 2019年9月27日、筆者撮影 
・バンフ・ホット・スプリング :  Banff National Park, Parks Canadaより 
・さよなら夕食会、Maple Leaf Restaurantにて : 2019年9月22日 筆者撮影 
・帰国の途へ、カルガリー国際空港へ向かう : 旅行実施団体の動画より