2024.10.22 小野 鎭
一期一会 地球旅 333 ニュージーランドの思い出(2)クライストチャーチから1 マウント・クックにて
一期一会・地球旅 333 
ニュージーランドの思い出(2)クライストチャーチから1
マウント・クックにて 
 
 ニュージーランドの南島、クライストチャーチと周辺地域にはいくつかの思い出がある。前後3~4回訪れているが、最初は1979年、いまから45年前、全社協(全国社会福祉協議会)派遣のオセアニア保育事情視察団の添乗であった。全国の保育施設の園長であるとか主任保育士(当時は主任保母と呼称)や法人理事長、加えて指導者として大学教授が同行されていた。この時はオーストラリアのシドニーとメルボルン、ついでニュージーランドのオークランドで保育事情視察などの公的プログラムが予定されていた。その間に、クライストチャーチを経由、週末であり、ここは言わば骨休めであった。メルボルンからここへ飛んで一泊、翌日の夜オークランドへ飛ぶことになっており、夕方まで自由行動(フリータイム)となっていた。 
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 クライストチャーチは後述するが、南島最大の都市であり、島の東側中央部に広がるカンタベリー平野の東端に位置し、中心街の真ん中をエイボン川、その両岸には美しい緑地帯や公園が広がっている。英国風の公園都市を思わせる静かなたたずまいは訪れる人に安らぎを与えている。イギリスの多くの町では曲がりくねった道路が多いが、それに比べると、中心街は碁盤目のように街路が縦横に伸びていることである。エイボン川という名前の川はストラトフォード・アポン・エイボンにあり、その名前がここクライストチャーチでも名付けられているのは、英国系の人たちが街づくりに大きくかかわっているということであろう。
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 この時は、大多数の人たちがオプショナルツアーとして、マウント・クック方面への遊覧に参加された。旅行記録(携行旅程)を見ると、全体の人数は自分を含めて27人であったがマウント・クックの麓にあるハーミテッジ・ホテルの庭園での写真には23名が写っており、一行のほとんどが出かけたことがわかる。これだけ多くの人数がオプショナルツアー、しかも航空便で出かけるには現地で急に手配できるとは思えないので、事前にある程度の希望をうかがい、大まかな事前手配をしておいたような気もする。 
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 南島を南北に走っている脊梁山脈はサザンアルプスと呼ばれており、ニュージーランドの最高峰マウント・クック(3746m)があり、同名の国立公園はじめ、4つの国立公園と周辺地域から成る「テ・ワヒポウナム」と総称され、世界自然遺産となっている。氷河作用と地殻変動が生んだ豊かな景観が広がっており、この国の最高峰、最長の氷河、最も高い標高にある森林、最も荒々しい川と渓谷、最も険しい海岸線、最も深いフィヨルドと湖、そして死火山の名残など、国際的にも有名なニュージーランドの素晴らしい自然景観を堪能することができる。また、この地域には、ゴンドワナ大陸の原始的な生物が土地に適応して進化して現代まで生き残っている様子が確認できる。古代の生物相の現存する代表例としては、この国の国鳥とされている飛べない鳥「キウイ」や肉食の陸生カタツムリなどがある。 

 ところで、ニュージーランド人は、自分たちのことを「キーウィ」と称していることは、すでに前号(332号)で書いているが、これはこの国の政府観光局の案内版である「100% Pure New Zealand」で紹介されており、キウイが国民にとても親しまれていることがよくわかる。因みに、私自身は、いつのころからか朝食にリンゴ(1/4)と「果物のキウイ」(1/2)を小さく刻み、これにヨーグルトと蜂蜜をかけるのが定番。キウイの値段は、一個88円くらいから148円くらい。スーパーで3個ずつくらい買ってくるが、柔らかさや味はやはり値段に反映されているような気がする。二通りの値段で売られているときは、無理してでも高い方を買っている。一個数十円の違いは大きいが、ここは味覚を優先したい。夏は常温では早く熟してしまいがちであり、冷蔵しておくと日持ちがする。(注、上記リンゴとキウイは、一人当たりの量) 
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 そんな雄大な風景が広がっている南島の景観であるが、この時はそのうちのほんの一部であったが、それでもスイスアルプスなどとは違った雄大な風景であった。マウント・クック・ビレッジ空港まで中型機で飛び、ハーミテッジ・ホテルで昼食、氷河湖のプカキ湖一帯やホテル周辺を散策するとか、ここからさらにオプショナルツアーとして、小型機でマウント・クック遊覧、タスマン氷河見物などを楽しんだグループもあった。セスナ機であり、5~6名ずつ乗ったと思うが水上機のように車輪とは別にスキーが装着されており、スキープレーンと呼ばれていた。飛び上がると眼下には、乳緑色のプカキ湖や茶色の原野、すぐに白銀の峰々さらにはタスマン氷河の雄大な風景が広がっていた。
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絶景に歓声を上げているうちに間もなく雪上に着陸。呆気ないほどであったが、氷上に照り映える陽射しに目を開けていられないほどのまぶしさは今も覚えている。タスマン氷河の上に降り立ったことは間違いないがその時の写真は残念ながら見つからない。出発の前かツアーを終えて戻った時かはわからないがマウント・クックの山並みをバックに撮った写真が残っており、懐かしむことができる。はるかな昔、クライストチャーチからのツアー全体の費用はかなりの金額であったと思うが、一緒に楽しませていただけたことが思い出される。因みに、マウント・クックなどのツアーはたくさん紹介されているが、今は、飛行機以外にヘリコプターでのツアーも多いらしい。(以下、次号) 
 
《資料》 
・テ・ワヒポウナム(Te Wahipounamu – South West New Zealand)世界自然遺産 
すべてがわかる世界遺産 1500下 NPO法人 世界遺産アカデミー発行 
 
《写真、上から順に》 
・エイボン川遊覧を楽しむ人たち Find Christchurch 資料より 
・ハーミテッジ・ホテル庭園にて、 前列左端が筆者 1979年2月 
・マウント・クックをバックに立つ筆者、プカキ湖原野にて 1979年2月 
・毎朝のキウイ 2024年8月 
・マウント・クック遊覧飛行、マウント・クック空港にて 中央が筆者 1979年2月