2024.11.25
小野 鎭
一期一会 地球旅 338 ニュージーランドの思い出(7)クライストチャーチから6 カイコウラ2
一期一会・地球旅 338
ニュージーランドの思い出(7)クライストチャーチから6
カイコウラ2
前号でカイコウラの町についてはほとんど紹介させていただいたが実際の様子について今少し書いてみたい。イルカもクジラも海洋生物、これを目当てに訪れる観光客は、その出現率によっても大きく左右されるであろう。季節にもよると思われるが、カイコウラでは、マッコウクジラ、ザトウクジラ、ミナミセミクジラ、シャチなど。イルカでは、ハラジロカマイルカ、セッパリイルカなどが多いと言われているがどの種類もおおむね、一年を通してほとんどみられるとのこと。とりわけ、ザトウクジラは6~7月、セミクジラやカマイルカは6~8月が特に多いとのこと。当地で言えば、冬季が特に出現率がさらに高いようであるが、ゆきわりそうでツアーを予定しているのは、翌年12月であった。現地のツアー会社の説明では、100%の確約はできないが、数日間滞在すれば多分、最低1日は大丈夫だと思われる。但し、時間帯は一定していないこともあるのでいつでも見に行けるようにしておくことが望ましい、とのことであった。今では、Kaikoura Wahle Watchingという組織がわかりやすい案内を紹介しているので今後、この地を訪ねたいという向きには大いに参考になるであろう。
ところで、12月はこの地も夏であるが、夏とはいっても涼しく、水温もかなり低い。カイコウラ一帯の背後には、海側とその奥にもう一つ連なる2列のKaikoura Rangesがあり、2千メートルから最高峰2,885mの山並みがある。夏とはいっても中腹以上は白銀に覆われており、そこから吹き降ろす風は多分、かなり冷たいのであろう。私たちが、下見で訪れた1994年12月のときもここではジャンパーを着ていたと思う。
前号でカイコウラの町についてはほとんど紹介させていただいたが実際の様子について今少し書いてみたい。イルカもクジラも海洋生物、これを目当てに訪れる観光客は、その出現率によっても大きく左右されるであろう。季節にもよると思われるが、カイコウラでは、マッコウクジラ、ザトウクジラ、ミナミセミクジラ、シャチなど。イルカでは、ハラジロカマイルカ、セッパリイルカなどが多いと言われているがどの種類もおおむね、一年を通してほとんどみられるとのこと。とりわけ、ザトウクジラは6~7月、セミクジラやカマイルカは6~8月が特に多いとのこと。当地で言えば、冬季が特に出現率がさらに高いようであるが、ゆきわりそうでツアーを予定しているのは、翌年12月であった。現地のツアー会社の説明では、100%の確約はできないが、数日間滞在すれば多分、最低1日は大丈夫だと思われる。但し、時間帯は一定していないこともあるのでいつでも見に行けるようにしておくことが望ましい、とのことであった。今では、Kaikoura Wahle Watchingという組織がわかりやすい案内を紹介しているので今後、この地を訪ねたいという向きには大いに参考になるであろう。
ところで、12月はこの地も夏であるが、夏とはいっても涼しく、水温もかなり低い。カイコウラ一帯の背後には、海側とその奥にもう一つ連なる2列のKaikoura Rangesがあり、2千メートルから最高峰2,885mの山並みがある。夏とはいっても中腹以上は白銀に覆われており、そこから吹き降ろす風は多分、かなり冷たいのであろう。私たちが、下見で訪れた1994年12月のときもここではジャンパーを着ていたと思う。
ホエール・ウォッチング(クジラ見物)やドルフィン・エンカウンター(イルカとの遭遇)は、この町の観光の目玉だと思う。クジラ見物は、20~30人乗りの遊覧船で湾内を沖合に向かって進む。船の操縦室の背中部分にガイドが立って、はるか遠くまでクジラの出現を求めて双眼鏡をのぞく。クジラの姿が見えてくると船は速度を緩めてクジラに近づき、停止して波間に揺られながらこれを見物する。私たちのときは、多分、体長7~8mのSperm Whale(マッコウクジラ)であったと思う。海面にクジラの背中部分が少し出ており、その下に黒っぽい大きな姿が船と並行して泳いでいた。船はしばらく停船していたがやがてクジラは動きを速めて水中に沈んでいった。残念ながら、写真でよく見る大きな尾ひれを水上にはね上げるとか、勇ましく潮を噴き上げるという動作はこの時は見られなかった。クジラが大きく巨体を海上にうねらせるとか、お得意(?)の雄姿を見ることができればきっと見物客は一層喜ぶであろう、と思った。
翌日午前中、Dolphin Encounterの船で沖合へ出た。この時は、予め水着を着用しておき、いつでも海に入られるよう準備しておいた。船には、10数名は乗っていたかもしれない。出発前、インストラクターからは、シュノーケルの使い方、海に入るときと遊泳中の注意、イルカとのふれあいとその意義などの説明があった。この時は、船が沖合に出て間もなく、はるか遠くで何頭ものイルカが跳ね上がり始めた。近づくまでもなく、船の周りでもイルカが泳いでおり、時に跳ねたり、船と競争したりしていた。しばらくして、船は速度を緩め、停船した。インストラクターは、これから海に入って良いといい、絶対に溺れることのないようにと注意を繰り返した。泳ぎにはあまり自信はないが、泳ぐことに抵抗感はない。とは言え、添乗業務でもある以上、万一のことがあってはいけないので、ここは我慢して水に入ることはしなかった。スタッフは早速海に入り、イルカとの泳ぎを楽しまれ、確かめられた。これならば、きっとメンバーも十分楽しめるであろうと確信され、あとはいかにして安全を確保するかが最大の課題。海が荒れさえしなければ、きっといいプログラムが展開されるだろうとここでの事前体験は大きな成果があったと思われる。
ゆきわりそうのカイコウラにおけるイルカとの泳ぎは1995年12月であった。「ノーマライゼーションをめざして」には、レンガの家のプログラムのなかにドルフィン・スィムのメンバーのことが紹介されている。そのなかに、「野生のイルカと泳ぐドルフィン・スィムのことが良く取り上げられており、専門書も出されている。その多くは、イルカの不思議な力や人間に与える精神的な高揚が紹介されている。ホラン・ドブスの著書『イルカを追って』のなかで障害者の改善例や自閉症児等障害者とイルカの交流についての話が多く紹介されている。」 そのような先進事例などを参考にして、水泳教室のメンバーのうち、数名がドルフィン・スィムに参加していた。この年、4月から都内のスポーツセンターを利用して特別練習が始まりカイコウラを目指した。オーストラリアの項で紹介した「私たちは心で歌う目で歌う合唱団」がニュージーランドのオークランドでコンサートを開くための準備を進めていた。水泳教室のメンバーの中には、合唱団に加わっている人もあった。
1995年12月11日、オークランドでのコンサートが終わり、ドルフィン・スィムのメンバー5人始め、水泳教室の人たちや家族、レンガの家のスタッフなど総勢22人がカイコウラに向かった。添乗員としては社からI社員が同行した。「ゆきわりそうの10年、ノーマライゼーションを目指して」の中にこの時の報告が紹介されている。それを抜粋して紹介したい。
一行は現地に3泊4日滞在、到着翌日早朝、ドルフィン・エンカウンターの案内で早速海へ! しかし、水の冷たさ、海の大きさと深さなどでメンバーの多くが緊張して、恐怖感を覚え海から上がる人、最初は緊張してスタッフの手を握っていたが、やがてその手を離れて泳ぐ人、最初からすぐに水に慣れていつものように泳ぎ、イルカとの遭遇を楽しむ人などもあった。この日の経験と反省から翌日は防寒を兼ねた水着を着用して海へ。ところがこの日、イルカは出現したものの泳ぐ速度が速く、最初は中々要領を得なかったが少しずつイルカと一緒に泳ぎ、楽しさを感じる人も出てきた。翌日は、ホェール・ウォッチング、マッコウクジラなどをすぐ近くで見ることができたとのこと、この日の午後は、イルカよりも岸近くにアザラシが出現、メンバーはドルフィン・スイムならぬシール・スィムを楽しんだ。
こうして初めてのカイコウラでのドルフィン・スィムのプログラムは終わった。総括すると、彼らの海に対する恐怖感が大きかった。今まで練習してきた実力の半分も出すことができなかったと思う。しかし、それぞれのメンバーは、自らの恐怖心に打ち勝つことを目指し、また、ここに戻って来たい、そして、イルカと泳ぎたいと言っている。それがスタッフにとっても励みになる。自然と海、そしてイルカが贈り物をしてくれたのかもしれない。恐怖心を克服するためにフィンやシュノーケルの扱い方のさらなる習熟、足の届かない深いプールでの泳ぎの練習、海で
の泳ぎに慣れることなどが次の課題として挙げられた。一方、親たちからの感想としては、カイコウラまでの距離が遠く、旅行期間が長くなる、したがって参加費が高くなり、容易には行かせることがむつかしい。結論として、伊豆諸島の御蔵島でのプログラムとすることで家族の了承も得ることができた。御蔵島周辺は黒潮が流れており、カイコウラより自然条件は厳しいが、ここでのプログラムが行われるようになって、約20数年が過ぎる。当初のメンバーの中には今も泳いでいる人もいるが、新たなメンバーも加わって、御蔵島でのプログラムは今も継続されて、今日に至っている。(以下、次号)
《写真、上から順に》
・カイコウラ・ホエール・ウォッチング : Whale Watching Kaikoura資料より
・カイコウラ半島とカイコウラ山脈 : 100% Pure New Zealand資料より
・カイコウラ湾で飛び跳ねるイルカの大群:Kaikoura Dolphin Encounter 資料より
・ドルフィン・スィム メンバーへの遊泳指導 : 同上
・ゆきわりそう 水泳教室の様子 : 「ゆきわりそうの10年 ノーマライゼーションをめざして」 より転載
・カイコウラの海で泳ぐドルフィン・スィムのメンバーたち : 同上
・カイコウラでのドルフィン・スィム後にメンバーが描いたイルカの絵 : 同上