2014.06.02
小野 鎭
小野先生の一期一会地球旅⑦「オランダ人に見る合理性」
オランダ人に見る合理性
小野 鎭
国づくりという観点から世界的にも知られているオランダの干拓事業を挙げてみたい。わが国でも秋田県の八郎潟、長崎県の諫早湾や岡山県の児島湾など干拓事業は知られているが、オランダには、農業関係者や産業青年だけでなく、建築や都市計画、福祉や医療、教育など様々な分野の視察団を干拓地や花市場などへ案内した。 オランダのアムステルダム、スキポール空港へ向かって下降する機の窓から見ていると、どこまでも広がる緑野が目に入る。見事なまでの幾何学模様と濃い緑である。この国の国土の総面積は、九州よりは少しだけ広く、人口は、1600万人強(2010年)だそうである。人口密度は、450人に上り、世界でもっとも人口の超密な国の一つである。ところが、上空から見ると、海岸部から内陸に広がるアムステルダムやロッテルダム、ハーグなどの都市圏の外側には広大で低平な緑野がどこまでも広がっている。そして、幾何学的に伸びる運河とパッチワークのように見事に土地が整備され、ヤナギなどの樹木が街路にあるいは牧場の境などに見事に植えられている。土地の平地割合が殆ど80%以上の国であることを考えると日本よりはるかに土地が効率よく使われていることがよくわかる- 浅い海や沼沢地などの一定範囲に堤防を作る。 オランダには岩石が少ないので、柳の木(ハコヤナギというそうである)などを柵のように編んで、そのなかに地底からくみ上げた土砂を詰めて次第に固めていく。
- 堤防が出来上がって固まってくると中の水を風車などのポンプで外へ出して排水していく。 北海方面からいつも海風が吹いてくるので風車は古来、動力源として重宝されてきたそうである。いまは、風車に代わってモーターが稼働している。
- 年月をかけて水が減ってくると少しずつ地底が現れてくるので、乾燥させながらそこに葦(アシ)などの草を植えて、根を張らせ、土地を少しずつ固め、乾燥させていく。 水路はそのままを残して排水や灌漑用水などとして使っていく。
- 土地が造成されてくると整地して農地や住宅地など地目を定めて使用する。 土地の使用目的は時代の流れの中で議論を重ねながら決められていく。
オランダの国土に占める干拓地 (資料借用)
風車の役割(いまは多くは動力源としての役割は終わっている(資料借用)
アルスメア一帯のチューリップ栽培(1970年代)
アルスメアの花卉市場(2000年代 : 資料借用)
産業青年海外研修団(例)
デルフト焼 花瓶