2014.11.26
小野 鎭
小野先生の一期一会地球旅㉜「アジア精神薄弱会議参加旅行にお伴して」
一期一会 地球旅 32
アジア精神薄弱会議参加旅行にお伴して (1)インドにて
76年にワシントンDCで開催されたIASSMD(国際精神薄弱研究協会)の会議ご参加のお手伝いをしたことでアジアでも精神薄弱関係分野の福祉や教育、行政、医療など幅広い視点からの会議が行われていることを知った。最初が東京、次いでマニラ、次はインドのバンガロールだそうで、それも翌77年に開催されるとのことであった。以前にも書いたが、研究など学術関係の団体が日本精神薄弱研究協会(当時の呼称、以下同様)、他に福祉関係施設等の集まりが日本精神薄弱者愛護協会、家族や育成団体の組織が全日本精神薄弱者育成会、さらに特殊教育に関する全日本特殊教育研究連盟(全特連)の4団体があり、これら4団体により社団法人 日本精神薄弱者福祉連盟が構成されていた。国際的にみると、アジア精神薄弱者福祉連盟(Asian Federation for the Mentally Retarded)があり、これには各国から関係団体が加盟していたと思う。 行政、福祉や教育、医療など実際にはそれぞれの国の国情により、この分野の対応には様々な形があった。それだけに、各国関係者が情報を交換し、学び合うことはとても重要なことであったであろう。 当時 (70年代後半)主要なメンバー国は、日本、韓国、台湾、香港、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、インド、インドネシア、パキスタンなどであった思う。中国やラオス、カンボジアは遠い存在であったし、ベトナムはまだ戦後の混乱期であったと思う。 ワシントンから戻り、早々に福祉連盟をお訪ねしたところ、旅行企画はM学院大学のY教授が担当しておられ、すでに大手のJ社と中規模のFK社が競っていることを知った。 筆者はこれまでの実績やIASSMD会議で仰いだ先生方のご紹介を携えてY教授にお会いした。営業活動に於いては自薦他薦、背景も様々であり、旅行会社を決定するについてはご苦労もあったらしい。お考えでは、今回は参加者数もかなり多くなると思われ、会議開催地であるバンガロールなるところは日本人にはなじみも薄いと思うので3つのコースを作りたい、すなわち、①会議直行、②ネパール経由、③スリランカ経由を提案された。加えて、会議では開会式、基調講演など主要な部分は添乗員が通訳してほしい、との条件付きであった。 具体的には、ハンディトーキーを持参し、団員はイヤホーンでこれを聴きとる方法、つまり簡易同時通訳に近い形であろうか。通訳者は、当時も勿論専門職であり、増して、同時通訳者が添乗業務などを行うことなど普通はまずあり得ないと思う。さらに同時通訳の設備も必要であるし、通訳者は2名以上でなければ仕事を受けていただけないと聞いている。従って、その経費は極めて高額になるので、それは条件的にも無理であり、英語の達者な人を添乗させて通訳もさせてほしい、という理由であった 。旅行会社にとっては厳しい条件であった。 医療や福祉関係視察で通訳は少しずつ慣れてきていたし、会場では事前に発表者の原稿も入手できるとのことであったので、頑張れば何とかなるであろうと厚かましく、そしていささか不遜な考えであることを承知しながら仕事をいただきたいと懇請した。結果的には、J社がスリランカ経由、FK社がネパール経由、そしてわが社は会議直行コース、とはいっても往路は首都ニューデリー経由、帰途は香港経由の旅行業務を賜った。