2015.12.30 小野 鎭
一期一会地球旅88「合唱団のその後、そして振り返ってみると・・・」

一期一会 地球旅 88

合唱団のその後、そして振り返ってみると・・・

ゆきわりそうグループでの勤務は韓国での演奏会が終わってから数年のちに非常勤とさせていただき、週に1,2回出勤し、一方で旅行業務や専門学校での講師などを経験していた。その中で、合唱団の事務局は、2012年10月まで担当した。毎週の練習はもちろん、主として会計や連絡業務などを受け持った。合唱団は、第九の「歓喜の歌」をいつも学びながら一方では、日本の歌曲、特に文部省唱歌と言われる美しいメロディや、ふるさとの四季といった懐かしい曲目に親しんだ。年輩の団員は幼き日を思い出し、若い世代は昔の日本の田舎の風景などを想像しながら、老若男女それぞれが日本語の美しさとゆかしさを学ぶことにもつながっていった。
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2003年には八丈島の作業所のメンバーとの共演で演奏会が行われたが、この時のご縁から声楽家の湯川晃氏が私たちの指導にあたっていただけるようになった。今ではソプラノ、アルト、テノールなど各パートとピアニストからなる講師陣により指導していただいている。オーケストラとの演奏の時は、指揮者である佐藤寿一氏が私たちの合唱団の特性をよく理解して下さり、力強くタクトを振っていただけることが嬉しい。また、事務局は小田切、北原、南といった若いメンバーがゆきわりそうで通常勤務の傍ら合唱団員としても団の運営業務を担当、姥山代表は、今も元気に歌い続けておられる。筆者はといえば、不協和音を出さないように、と注意しながら参加している。
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合唱団は今も月に2,3回日曜の午後に練習、12月にはゆきわりそう恒例のMusic Partyで歌うなど活発に活動を続けている。大型のイベントとしては、2012年にサントリーホール、そして2013年にカーネギーホールで2度目のコンサートが行われた。今後の予定としては、劇団みつばちブンブンの「不戦賛歌」で歓喜の歌をうたい、共演する計画が進められている。
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この劇団は、ゆきわりそうグループの中核である社会福祉法人地球郷の知的障害者通所授産施設に集うメンバーが主となって構成されている。劇団の活動は、イメージトレーニングというプログラムが背景となっており、 それによって育まれた感性と表現力で戦争の恐怖となによりも平和を求めることを訴え ている。この劇では、全体を通して、ベートーヴェンの第九交響曲がバックに流されているが、その合唱部分を私たちが共演することになっている。公演は2016年9月、年が明けると早速新たな練習が開始される。 1988年に初めてのゆきわりそうオーストラリア旅行から27年余が過ぎた。今思うと、当時は、重度障がいのある人たちの海外旅行は、個人団体を問わず容易ではなく、航空会社との折衝や旅行先の情報収集、現地滞在のための宿泊施設や見学先、陸上移動など多くの難問があり、文字通り手探り状態で準備を進めた。わずか8日間の旅行であったが、その準備にはほとんど1年近くを要した。 この経験から、現地手配会社(Land Operator)以外にも現地での協力者、医療機関や福祉関係団体等の情報や支援を得ることで次第に様々なテクニックや方法を学び、旅行先を開拓し、お客様にも快適に旅行を楽しんでいただけるようになっていった。それに至るには、1970年代から福祉や医療関係団体の視察や研修、国際会議出席団体などのお世話や添乗経験を通じて内外多くの専門家との出会いや協力、指導などが大きな礎となっていたことは間違いないと思うし、様々なバックアップをしてくださった多くの方々に感謝している。
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今日まで、230回余りの添乗などを経験してきたがそのうちゆきわりそうに関わる旅行が29回ある。ドイツのボン、ニュージーランドのオークランド、ニューヨーク、そして韓国では、現地の人々との共演でコンサートと市民交流が行われているし、その設営に全面的に関わってきた。ほかにも国内では、京都や八丈島、与論島といったところもある。また、2度のオーストラリア以外にも、アメリカのサンディエゴ、カナディアンロッキー、スイスのエンゲルベルクやブリエンツ、フランスへのスケッチ旅行、西オーストラリアのモンキーマイアでのイルカとの出会いなどがある。また、出かけるだけでなく、韓国の大学生の研修受け入れなどを通じての国際交流もある。27年の間に重度の障がいを持つ方や弱ったお年寄りなどの旅行環境は大きく改善されてきたがそのようなハード面の整備だけでなく、情報の共有や旅行客受け入れのシステムと人々の考え方などソフト面の充実が求められていることを強く感じる。 第九交響曲の「歓喜の歌」は命の応援歌と呼ぶ人もあり、私たち合唱団では常に歌い、学び続けている曲である。これとは別に紹介させていただきたい曲がひとつある。2000年にニューヨークのカーネギーホールで、「21世紀の平和を祈るメッセージ」を贈るコンサートが行われ、その開催に至るまでの紆余曲折と苦労は、随分紹介させていただいてきたが、国連職員合唱団の共演を得たことはひとしお強く心に残っている。国連本部のハマーショルド講堂で行われたMid –Day Concertでは、歓喜の歌を合唱し、手話隊も演じた。 
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このコンサートの最後に国連職員合唱団が披露してくれたのが、“Let there be peace on earth” (地球に平和を)であった。 1955年、夏のある日、様々な人種、宗教から成る180人の若者たちがカリフォルニアのある山で集ったとき、腕を組んで大きな輪を作り、平和を願う歌を歌った。「地球に平和を、そして、それはここに始まる・・」と思いを込めて歌ったとか。やがてこの歌は、若者たちの家、学校、教会、クラブ、そして村から町へ広がり、州内からさらに全米各地そして世界中に広まっていったそうである。そういえば、ニュージーランドのオークランド、アオテアセンターでのコンサート後の交流会で聞いたような気もする。 Let there be peace on earth, And, let it begin with us, Let there be peace on earth, The peace that was meant to be, With God as our Father, Brother all are we………. 地球に平和を、私と共に始めよう、 地上に平和あれかし、 父なる我が神と共に、そして、私たちはすべて兄弟(姉妹)・・・・ 国連職員合唱団(United Nations Staff Recreation Council Singers)のレパートリーに世界各国の代表的な愛唱歌22曲を収めたCDがある。その始めと終わりにこの曲が入れられている。そして、日本の赤とんぼも見事なハーモニーが奏でられている。60年前に作られた曲と聞いているがニューヨークの国連本部で覚えた“Let there be peace on earth”は世界中で愛唱されており、筆者の好きなメロディの一つである。この曲に親しみを覚えるととともに、その歌詞にあるように“地球に平和を、地上に平和あれかし、心を一つにして平和を目指そう”、と歌い続けていきたい。 昨年春から書き始めてきた「地球旅」は今回で88回目となった。毎回、下手の長談義の域を出ないが、このうち26回は、ゆきわりそうと合唱団に関わる旅行などであり、それだけ筆者にとっては、印象深く、人生観を変えることにもつながっていったような気がする。 今日までご愛顧いただき、導いてくださったゆきわりそうグループの利用者や姥山寛代代表以下スタッフや合唱指導関係と団員各位に心からお礼を申し上げます。 (資料、上から順に) 八丈島でのコンサート(和太鼓教室で幕開け  2003年10月) ゆきわりそう ミュージック・パーティー(写真借用) 劇団 みつばちブンブン 練習風景 (ゆきわりそうグループ公式サイトより) オーストラリア・モンキーマイアでのイルカとの出会い (2001年3月) 国連職員合唱団 “Let there be Peace on Earth”をみんなで合唱(2000年5月30日) *  You Tube : Let there be peace on earth  は世界的な歌手や多くのグループが歌っているので、You Tube で容易に開くことができます。以下は、一例です。 https://www.youtube.com/watch?v=icx7cDBuyNc https://www.youtube.com/watch?v=sTnKYDIwNpY

(2015/12/29)

 小 野  鎭