2016.04.12
あ・える倶楽部
戦後過ごした思い出の地で絆を確かめた家族旅行
戦後大連からひきあげてきた思い出の場所、家族の生活の基盤となった場所、鳥取。
周りになにがあるわけではない船舶が入港していた倉吉の港。
もう一度懐かしい場所へ行ってどのように変わっているのか確かめたい。
ご家族とトラベルヘルパーが交代で自家用車を運転して思い出の場所を巡ります。
入院中から今回の旅行に踏み切ったいきさつやご家族の想い、
お父様のリハビリへの取り組みむ姿勢などうかがいながら車で出発です。
門司港でランチ休憩。
通りがかりの犬に目を細められる。
満州から引き揚げ船で帰還したものの、行く宛もなく苦労されたこと、
引き揚げてからの一年間過ごしたときの倉吉市の思い出がどんどん蘇りました。
三朝温泉を流れる川は、終戦後は生活の水として直接使用していたこと、浅いので泳いだことはない、等、思い出されてました。
ホテルでの貸し切り風呂にて入浴では、
デイサービスとは違い気兼ねなくゆっくりと丁寧に介助してもらって気持ちが最高にいい、と嬉しい笑顔でした。
ホテル玄関前で。
また夜には、NHKBSで紹介されたあ・える倶楽部のドキュメンタリー番組を熱心に視聴していました。
倉吉市からだんだんと離れるうちに、『この目で確認できて良かった』と、しみじみと呟かれていました。
雨上がりの宍道湖畔をご家族で散策したり、道の駅二階カフェでランチを召し上がりました。
松江市内に立ち寄り、お城を車窓から見学され、全国各地に造詣深いお父様の説明に全員が感心。
島根ワイナリーではワインの試食を楽しまれ、マスコットキャラクターと記念撮影しました。
出雲大社では、建築物に感動されて、
本殿脇に掲示してある、美智子皇后の行幸の際に詠まれた歌にも感動されていました。
石見銀山では、従事されていたお仕事に関係があったとのことで、銀山にも大変な興味を持たれ、
『間歩』とは鉱山の坑道を言うと、トラベルヘルパーに教えてくれました。
無事に自宅へ到着するとほっとされ、トラベルヘルパーに握手を求められ、涙で再会を誓いました。
大泉トラベルヘルパーのレポート 依頼者はお嬢様。昨年6月に脳梗塞で入院されてすぐに、この旅行を企画された。と言うのも、緊急搬送の翌日に金婚式の旅行を予定。その事を目標にお父様の看病、介護に明け暮れた。出社前に病院、帰社後にも病院、土日は朝から晩までと、生半可な対応ではない。お母様と話しても、娘の献身的な前向きな行動を誇りに思われているのをひしひしと感じた。元来お父様はお家では無口で会話の少ない方とお嬢様からお聞きしていたが、ちょうど息子みたいな年齢の私には、初日から満州で生まれ、引き揚げ船で長崎へ着き、現倉吉市で生活、お兄さんの仕事を手伝い、炭鉱関連会社の管理職として全国を飛び回ったことなど、経済や政治に至るまで、お嬢様は聞いたことがないと言われることまで、よくお話をしてくださった。5日間も随行させて頂き、書ききれないほど、全てがエピソードであり、ハプニングもあった。