「いやだわ。何が何だかわからない。行きたくないの。気分が乗らないの。」「私、泊まらないからね。」「ではお昼を食べて帰ってきてもいいし。せっかくお天気が良いので出かけてみませんか?」「そう?」と。事務室に薬やペースメーカー手帳を取りに行っている間に池田様が来てくださっていて旅行を勧めてくださっていました。荷物を持っていると「何それ?」「万が一のために上着やお着替えも持っていきましょう。タクシーなので邪魔にならないので。」池田様に見送られてタクシーに乗車しました。
トラベルヘルパーがお迎えに伺うと、
「本当は行きたくないのよね。気分が乗らないの。」
と、お客様。
「では、お昼を食べて帰ってきてもいいし。せっかくお天気が良いので出かけてみませんか?」
「そうね、、、」と、出発されました。
昼食も、
「美味しくない。口に合わない。」とおっしゃいましたが、
おかずを少し残すも良く召し上がりました。
午後は「櫛とかんざし美術館」を見学していただきましたが、
「昔姉はこういうのさしていたわ。綺麗ね―。」と、
少しづつ楽しんでいただくエンジンがかかってきました。
梅岩寺のみごとなしだれ桜にはとても驚かれ喜ばれました。
「来て良かったですね。」とトラベルヘルパー。
「そうね。綺麗ねー。」とお客様。
車中から昔の映画『哀愁』のポスターをご覧になり、
「私この哀愁見て泣いて泣いてね―。」と懐かしそうにお話し下さいました。
お宿に到着すると、
「今日ここに泊まるの?泊まる用意何にもしてきてないわ。」とお客様。
「大丈夫です。用意してますから。」
と、とお伝えすると「泊まらないって言ったのに。」とおっしゃりながらも
宿泊に納得して下さったご様子で、トラベルヘルパーはほっと安心です。
温泉大浴場では、色々な方から話しかけられ、楽しそうにお話しされました。
94才の方に「まだまだ若いじゃない。」と言われ嬉しそうでした。
お夕食。
「沢山食べられないの。」とおっしゃりながらも全てのお料理に手をつけられました。
翌日は、羊山公園へ。
綺麗な柴桜。
「アイスクリームはないの?」と物産展で秩父牧場のアイスクリームを召し上がりました。
公園内のソメイヨシノとしだれ桜が見事でしたのでそちらでもお花見しました。
ちちぶ銘仙館 11:50 ~ 12:25
車椅子介助 昔の繊維試験場を資料館にしているので古い建物と秩父銘仙の着物などを懐かしそうにご覧になりました。
タクシー 12:25 ~ 12:30 乗降介助
秩父まつり会館
大きく綺麗な山車に驚かれました。
さあ、帰りましょう、という時間に、
「まだ早いからどこかに行きたい。」とおっしゃいましたので、
次のお出かけの愉しみにしていただきました。」
施設の建物を見て「懐かしの我が家に帰ってきたわ。」
と、ほっとされ、トラベルヘルパーとの初めてのご旅行から
無事戻っていただきました。