2018.02.16
小野 鎭
一期一会 地球旅 189 台湾への旅(4)まだまだ元気に臺灣旅行(1)
台湾の旅と言いながら、依然として出発どころかその準備さえ始めておらず、前置きばかりを並べている。つまり、生みの苦しみともいうべき状態であったというべきか。とは言いながら、旅の楽しさでもある。それを時系列的に見てみると、先ず、計画し、準備する楽しみ、そして、準備が整い、いよいよ出発し旅そのものを楽しむこと、それを終えて、思い出しながら余韻に浸る楽しさがある。写真を見たり、旅の思い出を綴ってみたり、一緒に行った仲間と電話やメールを交換しながら各地での見聞や経験を懐かしがったり、味わった名物料理を思い出したりする。昨今では、テレビの旅番組やドキュメンタリーでも世界各地の文化や歴史、あるいはニュースで直近の出来事などが瞬時にどうかするとほとんど同時に伝えられることさえある。そんなとき、実際に訪ねた場所であったりすると関心度合いは一層高くなる。もっとも一緒に行かなかった人が同席しているときは共鳴してもらうことは難しいのでその点では要注意であろう。
今回の旅行の骨子を組み立てて緒に就いたのは一昨年12月、暮れも押し詰まったころであった。10月上旬の同窓会で旅行が話題になってから2カ月余が過ぎていた。台北と高雄などを含む4泊5日、もう一つは台北と台湾随一の泉都北投を組み合わせた3泊4日の二通りを準備し、同期会代表K氏、すなわち、小林浩之氏に提示し打ち合わせを行った。本格的に計画を立案し、これを男女の幹事2名にも提示し、賛成を得た。訪問予定地は坂道や階段の多いところもあるので避けること、あるいはできるだけ楽に訪れることができるように配慮することなども織り込んだ。団員は誰もが後期高齢に達しており、家族同伴も予想されるが主体は同期生。そのことを念頭に置きながら旅行計画を立てることを意識した。先ずは、関東地区在住の会員に打診し、一定人数以上参加の目処が付けばその上でそれ以外の旅行好きの仲間にも呼びかけてみようというのが基本的な考え方であった。コースは二通りを提示するが参加希望者中の多数決でこれを決めることも予め了解いただきたいとふれておいた。その結果、16~17名が参加の意向が示され、コースは3泊4日案が多数であった。2017年2月中旬に目処がつき勇躍した。
こうしていよいよ旅行計画が本格化し、旅行業法でいう「受注型企画旅行」として正式に参加を呼び掛けることになった。旅行企画は、「福岡県立嘉穂高等学校第12回期関東地区有志」といういささか長い名称であった。小林氏に提案者代表として就いていただき、「まだまだ元気に台湾旅行」と命名された。旅行担当は筆者が務めることになった。旅行好きの仲間は全国各地に散らばっており、関西と九州勢にも呼びかけようと関空と福岡発着コースも提示した。旅行計画の動きがあることはそれとなく一部の人には伝わっていたと見え、これまでの旅行参加数十名に対して案内すべきだと考えた上でのことであった。実際にいただいた参加申込書の送付文の中に関東以外の仲間にも案内してくれてありがとう、という添え書きをしてくれた人もあった。
東南アジアや中国への団体旅行であって全国各地からの参加者が予想されるときは乗り越えなければならないハードルがある。欧米など長途の場合は、各地から例えば東京に集結してそこから全員そろって目的地に向かうことが多い。それに比べて、アジア各国へは日本各地から直行便があることが多く、わざわざ東京まで来ていただき、そこから目的地に向かうという方法は採用できない。以前、同期生グループでタイに行ったときも各地から直接バンコクへ向かい、そこで40数名が集結して国内線に乗り換えて目的地であるチェンマイへ向かった。その後、バンコクでの滞在、ここで解散してそれぞれの地へ戻っていった。つまり、現地集合現地解散というスタイルであった。今回は、東京に加えて、関空、福岡からそれぞれ台北へ向かい、正午過ぎに到着、午後の市内観光を終えて、夕方市内のホテルに入るというコースを設定した。東京からは羽田発の全日空で台北は松山空港、他の2コースは中華航空であり、桃園国際空港発着である。従って、関西と福岡勢は桃園着後合流して午後のコースを取っていただき、全員が揃うのは夕方ホテルにて、という行程とした。東京からのグループは、筆者が旅程管理者(添乗員)を務めるが、他の2グループには添乗員なしで動いていただくことも条件として明示した。
参加要項には、小林代表が誘いの文章を書いてくれた。同期生各位はこれを読んで感銘を受けて心を動かされ、行ってみようという気になったことであろうと思う。以下に紹介させていただきたい。
「今度の企画の動機はいくつかあるが、
“元気なうちにやれることをやろう”
“喜寿を祝おう” などである。
古希を過ぎたら、長寿の祝いは文字合わせになる。最初は喜寿(七十七寿)である。意味を求めるなら、生きて元気にしていることを喜ぶ齢とも言える。喜寿は数えで祝うから、多くの同期生は喜寿の齢であるが、あまりこだわらない。大事なのは、生きて元気なことを喜べるということである。独りでは心配でも、みんなで渡れば楽しさも増える。
昨年、成立しなかったグランドキャニオンへの旅を残念がる人も多く、話はまた小野さんのところに戻ってきた。結論は、参加しやすい、身の丈にもあった場所と時間をということで、今回の企画となった。障がい者と一緒にボンで“歓喜の歌”を歌ったという感動的な話題の持ち主である小野さんという名コンダクターがいる。これ以上心強いことはない。
英語で台湾のことをフォアモサ(Formosa)という。ポルトガル語に由来するが、意味は素晴らしいということである。これが漢字訳されて美麗島もしくは華麗(加齢ではない!)島と呼ばれる。台湾が、うるわしの島と言われる由来である。
決して最後とは言わない。一緒にでかけ、元気であることの喜びを分かち合いましょう。
提案者代表 小林浩之
それやこれやの準備であったが旅行手配の面では慎重を期すことに努めた。
様々な旅行情報や社会事情、日台関係などは新聞やテレビで最新の様子が報じられているので一般的な様子はわかるし、東日本大震災で見せられた台湾の人たちのより深い親日感なども見聞きしている。しかしながら旅行業務を引き受ける以上は大きな責任があることは当然である。加えて、前回台湾を訪ねたのは32年前、まさに今浦島である。一方、同期生の中にはかつて台湾に駐在していたとか、出張あるいは個人的に訪れたと人たちもある。つまり、現地事情には、自分よりもずっと詳しいメンバーもあるかもしれない。そのためには、旅行手配を一層慎重に進め、しっかりしたガイドをつけてもらうこと、そして、自分自身がしっかり勉強しておくことの必要性を強く意識した。最新のガイドブックはもとより、台湾に関する様々な図書、そして台湾観光局のホームページ、あるいは日本台湾観光協会東京事務所を訪ねては団員への資料として相当部数を得ることもできた。現地手配会社からは、昔と変わらぬ台湾流のやり方を感じる一方、信じられないほど大きく変わっている社会情勢などから大きな刺激を得られそうな期待も覚えた。結果的には、関東勢は筆者を含む12名、関西2名、九州3名、計17名の参加となった。
(以下、次号とさせていただきます)
資料 : まだまだ元気に臺灣旅行 参加要項
(2018/02/05)
小 野 鎭