2016.07.27 小野 鎭
一期一会地球旅118「「世界で一番美しい海を見に行こう」(パラオ その4)」

一期一会 地球旅 118

世界一きれいな海へ行こう! パラオ (その4)

 
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この日のもう一つのアトラクションは、ミルキーウェイであった。ロック・アイランドの島の一つの湾内に、「浸食で海底に沈殿した石灰質の泥が周辺一帯を乳緑色に染めた区域」とある。濃い緑の森に囲まれた湾内は、海とは思えないほどの静けさ、周りの木々が風に揺れてわずかに葉擦れの音がする程度。エメラルドグリーンの水面には日差しがまぶしく照り映えていた。船を停めて錨をおろし、船端から海面へ降りる、というよりは海へ飛び込み、立ち泳ぎをして漂う。深さは3~4ⅿくらいであろうか。ヒロシ氏や船の助手たちが潜って海底から泥をすくい、両手いっぱいに抱えて見せてくれた。真っ白な粘土で、美肌効果があるとか。
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これを船上でお互いに頭から顔、そして身体中に塗りあう。白い彫像で着衣前のマネキン人形状態。みんな誰が誰だかわからないほどお互いの異様な姿に大爆笑! そして、また船端から海へ飛び込み、浮かび上がってくると粘土が落ちて素顔が現れる。
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車いすのメンバーも海の美しさとみんなが水中で遊ぶ楽しさの魔力に逆らえず、救命胴衣を厳重に着用して恐る恐る飛び込んだ。海面には浮力いっぱいのマットも浮かべてあり、これにつかまってスタッフやガイドがそれぞれ両側から支えて水中では人魚のようなひと時。一行のリーダー的存在であるKさん始め、進行性障がいのあるFさんはこれまでで最高の笑顔であったとのこと。 スタッフや参加者全員にとっても大きな喜びであったに違いない。知的障がいのあるSさんはマネキン人形スタイルでもますます人気者であった。 ミルキーウェイでの楽しいひと時、文字通りひと皮むけた一行は、ふたたび船に揺られてロック・アイランドを後にした。空は明るく晴れ渡り、午後になると朝よりは少し波が出てきてはいたがむしろ心地よい揺れに船端にもたれてしばしのまどろみであった。
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この日の夕食は、ホテルから10分ほどドライブしたところにあるレストラン。素朴なネオンサインが愛らしかった。あいにく二階であり、エレベーターが設置されておらず、スタッフには大変なご苦労をいただいたが、お陰様で全員そろって楽しい夕食会となった。パラオ名物コウモリのスープはいささか複雑な味であったが、今も語り草となっている。
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翌日も楽しいプログラムがあった。グラスボトムボートと呼ばれ、船底に直径2メートルくらいの硬質ガラスが張ってありその周りに陣取って、透明なガラスを通して海中を泳ぐ魚やサンゴ礁を眺める趣向。歩行障害のある人たちは後部入り口からの乗り込みは危険であると思われ、船腹の横に三段ほどの階段を置き、そこから前後を支えて乗り込んでもらった。当初、船側からの説明では聞いただけでお手上げになりそうな感じであったがいざとなればなんとかなる、まさに“窮すれば通ず”、あるいは“生むは案ずるより安し”であった。もちろん、万に一つも事故を起こしてはならない。
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船が揺れずに安定していること、足元がぬれたりして滑っては大変、慎重に手を引き、両の足を支えて、と緊張したが、うまく乗り込んでいただくことができた。ボートは、旧日本海軍が開鑿した新水道を抜けてロック・アイランドの外縁を30分余り走り、さんご礁の美しい一帯で停船してしばし海中を眺めた。目にも鮮やかな大小の魚やヒトデ、ナマコなど様々な生き物やサンゴの美しい姿を楽しんだ。それから少し移動して別のところで同じような海中見学を繰り返して、2時間弱であっただろうか、ツアーが終わった。難を言えば、海の色は天候に左右されるので、より晴天の日のほうが海の中も美しくなるらしい。この日は、いまひとつ物足りなかったがこれも一つの楽しい経験であった。
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この日のお昼は、ロイヤル・リゾートでのおしゃれなランチ、クーラーのきいたレストランの周りは濃い緑の庭園に美しい花々が咲き乱れ、優雅なひと時。店内もトイレもアクセシブルであり、車いす使用のメンバーも居心地が良かったと好評であった。午後は、パラオ水族館(正式には、パラオ国際サンゴ水族館)見学。パラオ近海の魚やサンゴ、
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島内の湿地などに生息するマングローブ・ワニやこのあたりの海の王者ナポレオン・フィッシュも屋外の池で悠々と泳いでいた。屋内の水槽ではジェリーフィッシュ(タコクラゲ)がオレンジ色の美しい体型でゆらゆら揺れて優雅に泳ぐ姿がなかなかの人気であった。マカラカル島にある塩水湖に無数に住んでいるそうで、この湖はジェリーフィッシュ・レイクと呼ばれており、オプショナルツアーとしても人気がある。
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パラオでののんびりした過ごし方にも少しずつ慣れてきた3日目の夕方、パラオの人たちとの楽しいふれあいのひと時が予定されていた。筆者の旅行業専門学校在勤当時、この国から国費留学生として学んでいたブレル・キク嬢がいまは観光業で活躍している。今回の旅行にボランティアとして参加していた同じ学校の卒業生である廣中美子さんとは学友同志、彼女がキクと連絡を取り合い、お膳立てが進められていた。町のレストラン&バーを借切ってのパラオスタイルのブッフェ、海の幸や果物、熱帯の島々特有の野菜などもあった。
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キクは家族やフィアンセ、そして地元の若い世代を集めてくれており、歌ったり、ダンスを楽しんだり、大いに盛り上
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がった。 日本から携えてきたお土産を渡して歓迎してくれたことへのお礼を言うと、パラオの若いダンサーたちがダンスを披露してくれた。そして、名所の写真集や記念品をお土産として、全員に手渡してくれ、民間交流と親善が深まった楽しい一夜であった。(以下次号) (資料 上から順に、 いずれも2008年12月撮影) ミルキーウェイの静けさ 只今 変身中! Men’s Make Up! パラオ名物 コウモリのスープに挑戦・・・ グラスボトムボートの船内 海中をのぞくと・・・ ロイヤル・リゾートでの昼食 ジェリーフィッシュ(タコクラゲ) パラオ水族館にて パラオの若い女性たちによる歓迎の踊り 日パ親善交流風景 3コマ (2016/7/26) 小 野  鎭