2023.01.16 小野 鎭
一期一会 地球旅 244 英国の伝統・文化と田園を巡る旅⑯
一期一会・地球旅 244 
英国の伝統・文化と田園を巡る旅 ⑯ 
ロンドン その1 地下鉄(Underground)のこと 
ロンドンでは、丸く大きな赤い円の上に「Underground」または駅名がおおきく書かれており、駅によってはさらにSubwayと加えられていることもある。日本では、地下鉄のことを一般にSubwayと英語表示しているが。英国では、これは地下などにある横断歩道を指している。もう一つは、地下鉄道は丸くトンネルが掘られているからであろうか、「Tube」と称され、この呼び方が一般に使われていることである。ロンドンでは、自由時間も多いので公共交通機関の利用について知っておくことが望ましい。 
 
旅行6日目、ロンドン到着の夕食は自由であった。疲れている人もありこの日はマイペースで過ごしたいという人もあるだろうと考えて組んだスケジュールであった。
夕方、希望者数名と共に都心の繁華街であるピカデリーサーカス方面へ出かけてみようということになった。ホテルから徒歩数分のところに地下鉄Gloucester Road(グロスターロード)駅があり、有人窓口(出札口)もあった。先ずはオイスターカード(Oyster Card)を買うことが最初の仕事。
この旅行では、最初、フランクフルトで空港からDB(ドイツ鉄道)の中央駅までの往復は経験しているが、これは別にして、エディンバラから昨夜のブロードウェイまでタクシーを除いて公共交通機関は使うことはなかった。多くのメンバーにとっては、英国の鉄道駅で切符を買うということから言えば、初めての経験。窓口で20£(ポンド)札(約3千円)を出してこのカードを買った。日本のスイカやパスモ(関東地方の場合)と同じような電子マネーと同じ性質のカードである。このうち、5£は、基本料として差し引かれ、15£を運賃として使えることになる。 

ロンドンの地下鉄は、ゾーン制になっており、同一ゾーン内の場合とゾーンを越えて別のゾーンまで行くとことで運賃が違ってくる。市の中心部はおおむねゾーン1に含まれているが、市内の見どころはゾーン2であるとか、3に含まれていることもある。因みにヒースロー空港はゾーン6である。さらに乗車駅ごとにピーク時間とオフ・ピークが設けられており、出発時間によっては、料金が高くなることがある。グロスターロード駅の場合、Quieter Times at this station is 13:45~16:00 and after 18:00とある。つまり、この駅でのオフ・ピーク時間は、13:45~16:00と18:00以降となっている。この駅もピカデリーサーカスまでは同じゾーン1内であり、2£(約300円)、この時の通常切符(カード以外の現金等で購入する場合)は4.30£(約645円)であった。それから9年後の2022年現在、それぞれ2.50£(約375円)、通常切符は6.30£(約945円)となっている。東京の地下鉄の場合、例えば、新宿駅から東京駅までは、スイカなどでは198円、現金で200円であり、その差はわずかである。つまり、ロンドンでは、オイスターカードと通常切符の差が極めて大きいことがわかる。加えて、運賃そのものが高く、東京の1.5倍くらいになっており、総じて物価が高いように思える。 
プラットホームに出て電車を待っていると、背の高い英国人が頭を下げ、肩を低くして電車に乗り込む様子を見かけることがある。座席に座って隣りを見るとかなり高いところに膝を見かけることもあり、自分のそれはかなり低い。車両そのものが小さく、天井が低く、トンネルは車両の大きさギリギリということもある。地下トンネルが地中に張り巡らされた管のように見えるところからチューブ(Tube)と呼ばれる所以でもあるのだろうか。日本でも古い時代に建設された地下鉄は車両そのものが短く、天井も低く、車幅も狭い。プラットホームも幅が狭く、天井も低い。それほど地中深くもなく、階段もあまり急ではない。このことは日本で最初に建設された(1927年=昭和2年)銀座線の浅草駅や上野駅などでも感じる。 
ロンドンの地下鉄は世界最古であり、一番古い路線は、1863年に開業したとある。日本の明治維新の5年前というから驚き! 最初は電車ではなく、蒸気機関車牽引の列車であったというから車内は煙かったのではないだろうか。どこかの駅に初期の地下鉄道風景が描かれたていたような気もする。
その後、地下鉄は19世紀から20世紀にかけて次々に建設され、市内を網の目のように結んでいる。世界有数の大都市であり、一日中稼働しているのだからプラットホームを拡げるとか、エレベーターなどを建設し、設置するのは容易ではあるまい。古色蒼然とした駅構内を見かけたことも珍しいことではない。とは言いながらも次第に改築されたりしているところを見たこともあるし、先のロンドンオリンピック・パラリンピックを契機としたのであろうか大いに快適な駅に生まれ変わっているところも多いと聞く。官庁街のど真ん中、国会議事堂に近いウェストミンスター駅などはその典型ではないだろうか。 
 
そこへ行くと、日本の地下鉄は、戦後、特に高度経済成長期から近年にかけて建設されているところも多い。加えて、エレベーターやエスカレーターと並んで駅構内のスロープ化や多目的トイレが設置されるなどバリアフリー化が進んでいるところは世界的にも誇らしいと私は思っている。そんなことを思い出しながら、ピカデリーサーカスへ向かった。(以下、次号) 
 
(写真と資料、上から順に) 
l  地下鉄(Underground)とPublic Subway歩道の案内 : 
TfL(Transport for London ロンドンの交通)資料より 
l  Gloucester Road(グロスターロード)駅 開業当時のMetropolitan & District Railwaysという表示がある。TfL 資料より 
l  オイスターカード(Oyster Card) 
l  ゾーン1(Zone 1)の路線図と駅名 : Wikipediaより 
l  The nickname "Tube" comes from the circular tube-like tunnels through which the small profile trains travel. 愛称の「Tube」は、細い形の列車が通る円形のチューブのようなトンネルに由来している。:Wikipedia 
l  On 10 January 1863,the Metropolitan Railway opened the world’s first underground railway. 1863年1月10日、メトロポリタン鉄道が世界初の地下鉄を開業した。 : BBC資料より 
l  Westminster Underground Station (ウェストミンスター地下鉄駅) TfL資料より 
l  東京メトロ 上野駅ホーム 天井が低いことがわかる。ホームドアとエレベーターが見える。: 東京メトロ2022年資料より