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小野先生の一期一会地球旅
2014.08.05 小野 鎭
小野先生の一期一会地球旅⑯社会福祉施設処遇技術調査研究 研修事業添乗
一期一会 地球旅
「社会福祉施設処遇技術調査研究並びに研修事業」に添乗して
【その1】プラハの思い出
手元に「海外の社会福祉施設点描」というちょっと年代物の書物があり、欧米ほか各国の社会福祉施設350余ヵ所が紹介されている。財団法人社会福祉調査会が昭和47年(1972年)から派遣された「社会福祉施設処遇技術調査研究並びに研修事業」で訪問された施設等の概要である。この派遣事業では、全国の様々な社会福祉施設(肢体不自由児・者施設、失明者・ろうあ者施設、内部障害や身体障害者関係施設、精神薄弱児・者施設、重症心身障害児施設、救護施設など)の専門職、たとえば、指導員、保母、看護婦(師)、寮母、医師、のちには、作業療法士、理学療法士や心理関係、ケースワーカーなどから成るチームで各国の施設の処遇技術や地域ケアなどの様子を見学して多くのことを学ばれた。約10年間(81年まで)に15団体以上派遣されていると思うが我が国の社会福祉施設での処遇技術や用語そのものなどが大きく変わり始めていった頃であったと思うのでそれだけに一層興味深い。この派遣事業に限らず、海外研修事業や視察で得られた多くのことが施設で行われる処遇の在り方を見直していく上でも大きな役割を果たしたのではないかと思う。
社会福祉調査会はその後も引き続きこの派遣事業を続けられているが、法人そのものが昭和63年(1988年)に財団法人社会福祉振興・試験センターとして改組され、その後、公益財団法人として現在に至っておられる。介護福祉士や社会福祉士などの資格取得試験の実施機関であり、一方では引き続き海外研修や研究事業を継続されている。 明治航空サービスでは、第2回派遣(昭和48年=1973年)において旅行業務を下命いただき、爾来25年以上にわたってほとんど毎年様々な派遣事業を担当させていただいた。本来の旅行業務だけでなく、福祉関係分野の、いわば専門旅行会社的な存在として評価いただいていたのだろうと誇りに思う。併せて、長年のご愛顧に対して改めてお礼を申し上げます。 最初にこの団体の旅行業務取扱の下命をいただくまでには、当時の上司などの営業力に拠ったものであるが、実際の旅行業務は筆者が担当することとなった。実際に取り組んでみると、それまでの医療や児童福祉関係、教育など様々な経験が役に立ったが、このグループは、団員構成が、児童福祉、障害者福祉(当時の用語で言えば、精神薄弱や身体障害)、救護施設、老人福祉などと多岐にわたっており、全体の人数も61名(内3名は厚生省、3名は主催団体)の大きなグループであった。そこで、視察先は、同時に2か所、できれば3か所をできるだけ専門別に見学できるようにと要望があった。当時は、視察先の手配などについては、厚生省から外務省を通じて在外公館の協力も仰いでおられた。しかしながら、実際には旅行会社も通訳や交通手段など本来の旅行業務に加えて視察先の発掘や資料収集などにも多忙を極めた。今と違って、メールやインターネットなどつまり、パソコンなどはまだ無い時代であり、航空便やテレックス、電話が主たる通信手段であった。過去に見学していたり現地手配会社から得た情報などが役立ったことも幸運であった。 67年に初めて欧州への添乗をしたときは、4名のうち筆者が一番の新米添乗員であったが、今回は3名、筆者がチーフを務めた。実は、この年は、1月23日~2月21日 海外教育事情視察、4月21日~5月11日 マーガリン製造関係視察、5月15日~6月3日 欧州への観光団、6月22日~7月24日 欧米医療事情視察、9月8日~26日 産業青年海外研修、ほかに11月1日~30日 海外教育事情視察と合計7回、延べ178日出ていた。 ほとんど一年の半分近くであったが、日本にいるときはもちろん通常の勤務をしており、土曜日も出勤していた。また、平日も連日残業をしており、企画、営業、手配、英文レターの作成や資料調べなど、毎日忙殺されていた。30代前半で、いわば夢中で働いていた時代であったが、今になってみるとよく身体がもったな、という思いである。そして、今日までの添乗記録を見ると、一番多く海外添乗をした年でもあった。 さて、この時のコースは、プラハ、ローマ、ジュネーブ、パリ、ハノーヴァー、ストックホルム、ロンドンを回っており、前述したように施設見学などのときは、いくつかのグループに分かれて行動するなど、多忙であったが思い出に残っていることがいくつかある。
プラハは、当時は、社会主義国チェコスロバキアの首都であり、町を歩いてもどことなく重苦しい雰囲気を感じた。個人的には、そのころの共産圏諸国は親しみにくい趣があった。 団全体では4ヵ所の施設を訪れているが、そのうち、二ヵ所の見学に同行した。一つは、プラハ市内にある国立の身体障害者リハビリテーション施設で1939年に結核患者のサナトリウム(療養施設)として造られたものであった。第二次大戦中は、ドイツ軍の野戦病院として接収され、1947年に返還されて国立のリハ施設として再利用されているものであった。 もう一か所は、プラハ市内から50㎞くらい離れた郊外の人里離れた森の中にある精神薄弱児(当時の表現であり、今ならば発達障害児と呼称すべきか)施設であった。もとは、陸軍のキャンプ基地の施設であったが、1968年に改装されて当時に至っていた。両施設とは奇しくも第2次大戦中は戦時用の施設として使われていたことになるが、建物そのものがいずれも建設当初は本来の利用目的に沿ったものではなかった。そして、どことなく冷たさを覚えるような感じであったような気がする。
この国は、1968年に、後年言われるところの「プラハの春」による自由改革路線が推進されたが、ソ連軍の駐留が行われ、翌年、チェコとスロヴァキアという二つの社会主義国家から成る連邦制に移行していたと資料にある。私たちが訪れた73年頃は、ちょうどこの連邦制の時代であったらしい。しかしながら、実際に二つの国に分離してそれぞれが独立した歩みを開始したのはさらに20年以上過ぎた1993年であったとある。筆者は、プラハはこの時以外にも医療事情視察団で訪れているが、やはりまだ分離独立以前であった。 最近では2006年に訪れたがさすがに大きく変わっていて驚いた。
30数年ぶりに訪れたプラハは、1000年の歴史を持つ古都、100の塔のある町と呼ばれて中欧を代表する観光地の一つとして眩しいほどの明るさがあった。長い間の煤煙などで黒ずんでいた古い教会や建物が洗われて、生まれ変わったような美しさをみせていたし、ヴルタヴァ川(モルダウ川)にかかるカレル橋や旧市街には世界中から訪れる観光客があふれていた。73年に訪れた時に宿泊したオリンピックホテルの前を走っている市電に幾度か乗ったがその市電も今はすっかりモダンになり明るい表情の市民の足として忙しく走り回っていた。何よりも驚いたのは、観光客が立ち寄るところの様々な物価はこれもすっかり“西欧並み”の値段になっていた。 73年のときは、プラハで3泊4日を過ごして、フランクフルト経由、ローマを訪れ、さらにスイスのジュネーブに至った。 ここで、予期せぬトラブルが起きた。 このことについては、次回に書かせていただきたい。 (2014/8/3) 小野 鎭 資料 (上から) 海外の社会福祉施設点描 (財団法人 社会福祉調査会発行 1982年) 昭和48年度(1973年) 社会福祉施設処遇技術調査研究欧州旅行 携行冊子 レオンティン精神薄弱児施設(当時の呼称 上記 社会福祉施設点描より) プラハ市内電車(1973年当時 資料借用) プラハ市内旧市街に溢れる観光客とチェコの国旗(2006年 筆者撮影)
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