2022.09.06 小野 鎭
一期一会 地球旅 231 英国の伝統・文化と田園を巡る旅③

一期一会・地球旅(231) 英国の伝統・文化と田園を巡る旅 ③

 
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エディンバラは、過去に幾度か訪れている。Doctor Tourとして1970~1980年に2,3回訪れているし、その後もさらに2,3回。 最初は、University of Edinburgh医学部の教育病院の一つであるWestern General Hospitalウエスターン総合病院であった。この病院は、新市街の北西部にあり、住宅街や森が広がり、そのあたりから坂になっていて高台から次第に低地になっていたと思う。古色蒼然とした建物と新館などが入り混じっており、一歩中に入ると、医師の卵や看護師、いかにも教授然とした人が歩いていたと思う。数回訪れたが、最初は現地在住の日本人女性に通訳として来てもらい、自分でもなんとか聞きながら内容を理解しようと努めた。難しい話であったがオリエンテーションが終わると現場見学として、各診療科、手術室、検査室、病棟なども回った。グループは20人以上であったので、現場見学では人数が多すぎるので2班に分かれて見学することになり、自分も一つを受け持つことになった。なかなかついていけないところもあったが、頑張って通訳し、理解するように努めた。医学用語はそれ自体、メンバー各位がわかるから大丈夫だ、と仰ってくださったので助かった。医学用語は次第に自分でも理解できるようになってきたので、できるだけ正確に訳するように努めた。 ところで最初の時の女性の通訳は鼻をすすりながら、目を拭きつつメモを取っているのが気になり、途中で体調を聞いたところ、Hey Feverと言い、干し草熱って何だろう?と思っていたところ、日本でも少しずつ流行るようになり、「花粉症」と訳されていた。2回目以降は、自分でも通訳するように努めた。ドイツやフランス、スイスなどでもかなりの病院等を訪ねるようになっていたし、特にアメリカやカナダでは頑張っていたのでエディンバラでもできるだろうと自分で乗り込んだのである。スコットランドで使われる英語と専門語がまだ十分には理解できず、最初の内は、脇の下から冷や汗を流しながらヒヤヒヤであったが次第について行けるようになっていった。ここでの英語では「R」の発音が強いことであるとか、ロンドン辺りで聞く英語よりも若干違いがあることを知った。現地では、EnglishでなくScottish に慣れてくれればいいよとの話で、日本であればティッシュペーパーでスコッティッシュ(Scottie)をたくさん使っているよと、大笑いしたことを思い出す。
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エディンバラで病院見学をした後は、さらに北上して今は世界遺産になっているフォース橋をわたってハイランド呼ばれるスコットランドの古城や湖水なども多い景勝地、パースやフォート・ウィリアムス、ピットロックリー、他にも小さな美しい町などを周ったがグループ旅行としては、宿泊するホテルの部屋に大小の違いがあり、お客様からどうして部屋ごとにこんなに違いがあるのか?とクレームを受けたり、いちどきにシャワーを使うとお湯が出なくなって困ったこと等を思い出す。
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当時を振り返り、今、地図を見直すと地図と英文ガイドブック、ドライバーからの情報を得ながら、バスツアーとして、それなりによくも案内したものだと苦笑する。Scotch(スコットランド語)では、山々の峰を指す言葉としてBen、湖がLochであることをこのとき、知った。スコットランドに限らず、Glenという言葉もよく聞いたが、これは谷間や渓谷を指しており、この谷間を流れてくる清流がおいしいスコッチウィスキーをつくるうえでとても大事なのだと聞いたことも懐かしい。
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1988年には、国際精神薄弱研究会議(当時の表現)がアイルランドのダブリンで開催され、その帰りにエディンバラに寄った。この時は、市街を自由に見て歩いていただき、翌日、列車でロンドンへ向かった。空路で一気に飛ぶより、陸路で移動するほうが楽しい。改めて気づくことは、エディンバラからロンドン迄500㎞くらい、どこを走っても、緑野と森、都市は、レンガ造りや石造りの建物がおおく、茶色か黒っぽい色であることが多かったことである。 それ以後は、スコットランドにはあまり縁が無く、もっぱらロンドンや中部イングランドへの旅行が多かった。今回、以前に数回泊った中心街にあるクラシックな大型ホテルを懐かしく思い、訪ねてみた。現在は、外観やたたずまいは昔のままだが、バルモラルという豪華なホテルに生まれ変わっていた。
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英国のクルーズトレイン、ロイヤル・スコッツマンで出かけるスコットランド方面への豪華列車の旅のチェックインはこのホテルからエレベーターで降りればウェイバリー駅へ直結しているという趣向。昔のように少し奮発すれば泊まれるかな、と最初は考えたのだが現地手配会社からちょっと厳しいと言われ、諦めて中クラスのホテルにせざるを得なかったが、なるほど、と納得がいった。近頃、日本でも海外などからの富裕層を対象にした旅行を普及させるべきだという声も聞こえる。クルーズトレインの旅行も普及してきているようだが、ホテルの場合は、こういうところが選ばれるのであろうか。3~40年前に幾度か泊ったところであるが、それらの由緒あるホテルが取り壊されるのでなく、古い建物そのものを活かして、古き良きものはいつまでも使うのだというヨーロッパ式の合理性と考え方を実際に見たような気がする。
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ここまで書いて、今号は終わるつもりであったが、以下を書き加えさせていただこう。前記の豪華ホテルの名前はバルモラルという名前であることを確認していたが、イギリス王室の離宮として、王室一家が毎年夏の避暑地に使用しておられたのがバルモラル城である。エディンバラから北上したハイランド地方にある。このほど亡くなったエリザベス女王は、この城でトラス氏を英首相として任命された。首相の任命は女王の静養先である北部スコットランドのバルモラル城で行われた。通常はロンドンのバッキンガム宮殿で実施されるが、今回は96歳を迎えて健康不安を抱える女王に配慮し、静養先で執り行われた。女王がバッキンガム宮殿以外で首相の任命に臨むのは初めて。」(この部分は、読売オンラインから転載)以下、次号)   写真&資料(上から順に、ことわりのないものは筆者撮影) Western General Hospital (同病院資料より) フォース橋(Wikipedia 英国版より) ピットロックリー周辺の湖 (Loch Tummelトンメル湖 Visit Scotland資料より) エディンバラ・ウェイバリー駅構内、プラットホームとタクシー乗り場が並行していることは英国の鉄道駅でよく見る形式。(20131005 筆者撮影) The Balmoral Hotel (同ホテル資料より) トラス氏、英史上3人目の女性首相に就任…エリザベス女王が静養先で任命(読売オンラインより)