2023.07.31 小野 鎭
一期一会 地球旅 272 カナダの大自然と遊ぼう16
 一期一会・地球旅 272 
カナダの大自然と遊ぼう ⑯ カナディアン・ロッキー ⑥ 
 
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 アイスフィールド・ディスカバリー・センターは以前(2009年)に比べると、驚くほどの盛況振りであった。土産物店や広い待合室などは通路まで人で埋まっていた。カナダ人というより欧米人もさることながら、アジア系の人が多く、聞こえる言葉は中国語やタイ語なども多く、日本人は圧倒される思いであった。ツアーデスクにも長い列ができており、当日のツアーを申し込む人や、ツアーの中身についてより具体的に説明を求める人などもあった。ここでは、以前は別の会社が氷河見物の雪上車を運営していたと思うが、いまは、Pursuit社が、Columbia Icefield Adventureと銘打って、センターからシャトルバスで雪上車乗り場まで行き、そこで雪上車に乗る。そして、アサバスカ氷河の上に下車してさらにその上に広がる大氷原を仰ぐ、という趣向が組み込まれている。全体の所要時間は、2時間半から3時間程度とあるが、混み具合やその日の天候などで前後されるとか。よほど悪天候の場合は、ツアーは実施されないこともある、との補足説明があった。 
 
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 ツアーデスクで、私は、グループ内に車いす使用者4人おられるが、雪上車には車いすの方は1名しか乗せてもらえず、2名以上の場合は、それぞれ別の雪上車に乗らなければならない、と聞いている。しかし、何とかグループ全体が同じ車に乗るように計らってほしい、と相談を持ち掛けた。同社のFAQ(よくある質問)によると、全部の雪上車のうち2台にリフトが設置されているとのこと。15分から30分に一台動いているらしいことを考えるとグループをいくつかに分けるのではなく、自分たちで介助してタラップを登って乗車するので、特段の配慮をして欲しいと願ったのであった。しかしながら、ツアーデスクのスタッフは安全上の規則として雪上車一台当たり、車いすの方はお一人のみ、との原則は絶対条件であるとの説明が繰り返された。 そして、リフト付き雪上車がどのように運行されるのかは現場サイドの判断に任されているようであった。 

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 センターから、雪上車乗り場まではシャトルバスで移動することになっているが、車いすの方は、別途、リフト付きのヴァンで同行者一名を乗せて運ぶことになっているとのこと。そこで全体の流れを事務局のY代表にお伝えしたところ、男性のKさんとY氏ご自身で先発していただくことになった。グループ全体もできるだけ早く、シャトルバスで追いかけることを目指したが、ツアーグループはツアーデスクの指示に従って出発せざるを得ず、Y氏とは細かい打合せが出来ないままに、先に現地へそのVanは出発した。急遽、Y氏と携帯電話で打ち合わせようと試みたが、とっさのことで電話がうまく通じなかった。慌てていたところ、Kさんの御身内が自ら連絡を取ってくださり、急場しのぎの「安全確認と雪上車乗り場に既に到着している」との回答が得られた。このことは、とてもありがたいと感謝しながらも、自分としては、緊急の場合の善後策をてきぱきと取れないという失態を演じたことになる。最初のバンクーバーでのエスカレーターで転倒したことと合わせて、何ともお粗末な一面を見せている。長年の添乗経験や知識なども役立たず、そんな自分を考えると添乗業務としては、もはや限界に来ているのだろうと自らに言い聞かせるしかなかった。 
 
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 女性のメンバーも別のVanで雪上車乗り場に動いていただいた。グループ全員もシャトルバスで移動、氷河の舌端を車窓に見ながら数分、やがて、雪上車乗り場に着いた。以前(2009年)は、中型バスではあったが、この場所までそのまま来ることが出来たことを覚えている。今は、一般乗用車はもとより、バスなどもすべて大型駐車場に置くことになっており、シャトルバスでここまで来ることに変わっているらしい。多分、増加一方のツアー客受け入れと環境保全、地球温暖化防止などいくつかの理由でそうなっているのであろう。 
 
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 いろいろあったが、雪上車乗り場には、先発されたKさんとY氏がおられ、やがて雪上車に乗り込むことになった。Kさんはリフトで乗車、他の人は、車いすをこの待合室に置いていくようにとのことで、事務局の何人かで支援して、タラップを登って乗車していただいた。結論から言えば、グループ全員が一台の雪上車に乗れたことになり、ア
 サバスカ氷河へ向かった。この日は、あいにくの天気でみぞれ交じりの冷たい雨が横殴りに窓をたたく中、氷河が運んできたモレーン(氷堆石)の急傾斜を下っていよいよ氷河の上に到達した。待望の氷河の上に降り
 立った時は、みぞれが激しく横殴りに頬をたたき、手もかじかむほどの寒さ。Kさんはリフトで降りられ、女性のOさんは屈強なドライバーの男性がお姫様抱っこでタラップを下ろしてくれた。氷河の上では、Oさんのお母様や女性スタッフが手を引いて身体を支えるなど、身を切るような冷気の中で皆さんは歓声を上げられ、心の底まで熱くなるような光景が広がっていた。ビデオ撮影で忙しいNさんは大氷原から流れてくる水をペットボトルにすくい取り、帰路の車中で代表のY氏と共にこれを味わってお
 られる一コマもあった。甘露であったのか、それとも苦い水であったのか?紆余曲折の末のコロンビア・アイスフィールド・ツアーは、あいにくの悪天候ではあったが、全員が氷河の上に立っていただけたという得難い経験となったことで何とか面目を施したということであろうか。(以下、次号) 
 
【写真:上から順に】 
コロンビア・アイスフィールド・ディスカバリー・センターからアサバスカ氷河を望む。この日はあいにくの天気であった。(2019年9月22日、筆者撮影) 
雪上車のリフト部分(2009年8月30日 筆者撮影) 
大氷原へのシャトルバス(2019年9月22日、筆者撮影) 
以前は、雪上車乗り場まで、貸切バスで行けたのに! (2009年8月30日、筆者撮影) 
雪上車乗り場まで往復用のリフト付きヴァン(2019年9月22日、筆者撮影) 
雪上車のドライバーも応援してくれた!(同上) 
氷河の水は手が切れるように冷たい! (同上) 
コロンビア大氷原アドヴェンチャーを終えて(同上)